自転車に乗るとか球を打つとか…

頭じゃなくて「体で覚える」のメカニズムを知りたい!

2009.02.26 THU



写真提供/AFLO
「Don't Think. Feel!」(頭で考えるな! 肌でつかめ!)とは、かのブルース・リー先生のお言葉ですが、ここで疑問。「肌でつかめ」「体で覚えろ」って、脳は使ってないんでしょうか? 東京都神経科学総合研究所の石塚典生医学博士にお聞きしました!

「脳の記憶には、いくつもの種類があって、その中に手続き記憶というものがあります。手続き記憶を構成している一部分に運動性記憶という、言葉で内容を示すことが難しい『自転車の乗り方』のような運動的なものを覚える記憶があるんですよ」

おぉ! それこそが肌でつかむってやつですね! 記憶ってことは、当然、頭=脳で考えているってことですよね?

「そうです。ただ『手続き記憶』が定着するまでには段階があるんです。例えば、自転車に乗ろうとするとき、『自転車に乗るには、まずペダルに足をかけて』と考える。こういった段取り的なものは、『陳述記憶』と呼ばれる記憶で、脳でいうと大脳皮質連合野というところを使っています。これらの段取り的な動作はやがて、『筋肉が引っ張られた』とか、『どれだけ力が入った』という筋肉の情報として小脳で制御されるようになり、意識せずとも自然に反応するようになります。つまり、コツやスキルとして体が覚えていく。この小脳と、大脳基底核という大脳に含まれる構造物が連合して、 運動性記憶を作っています」

つまり「体で覚える」には、大脳皮質連合野ってところから、小脳と大脳基底核という部分に切り替わる必要があると?

「切り替わるというか、大脳皮質がつねに制御しなくても、運動性記憶に従って自動的に動くんです。プロ野球選手も、ボールが目に入ったら、小脳がバッと動き、筋肉が反応して打っている。そこに意識はないんです」

そこまでいってこその「肌でつかめ!」ですね。じゃあ、ブルース・リー先生の言葉は、「大脳皮質だけで考えるな! 小脳と大脳基底核を使え!」が正確な訳なんですね。うん、微妙!


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