アレをコレで代用してみたら・・・

第3回 時計なしで生活できるか!?

2009.03.25 WED

アレをコレで代用してみたら・・・


時間がわかってしまうため、実験中に使用不可能だったもの。ケータイは連絡が必要だったので、シールを貼って時計表示を隠しています。このほか、テレビやDVDプレーヤーなども使えず、外出は駅の時計などを避けるために近所での待ち合わせのみに制限…。あまり動けません

時計なしで1日生活!待ち合わせ時間は守れた?



時計なしの生活そんなの普通は考えられませんよね。朝起きられないかもしれないし、終電を逃してしまうかもしれない。でも、考えられなくても、やってみることはできるのです。そもそも、僕らには体内時計ってやつが備わっているはず。直感に従えば、意外と時間がわかるのではないでしょうか。空には太陽だってあるし。

というわけで、時計の代わりに体内時計や日時計を使って、一日を過ごしてみることにしました。

ただ、僕はいつも眠る時間がバラバラ。朝も目覚ましがあるのに二度寝、三度寝、ときには五度寝までしてしまいます。平日だと寝坊してビジネス上の問題が発生しそうなので、実験は休日に決行。ずっとひとりじゃ寂しいので、『R25.jp』のスタッフと14時に待ち合わせの約束を入れてみました。

まず、前日、眠る前に部屋から時計を撤去。腕時計をもともと持っていない僕ですが、置き時計を片付けるのはもちろん、ケータイやパソコンの時間表示部分にはシールを貼り、時計表示があるコンポなどの電源もオフにしました。テレビも時間がわかってしまうのでNGです。が、その日は昼過ぎまで寝ていたせいか、眠りに落ちる前には始発電車の音が。果たしてどうなることやら。なお、待ち合わせ相手に起床時や食事の際にケータイでメールすることで、実際の時間を記録しました。

そして、何時間後かに起床。いつもは四度寝、五度寝をしているのに、この日は遅刻が心配で二度寝です。偉いぞ! 意外と早い時間なのではと推定しつつ、カーテンを開けると、真南に太陽が! 正午ぐらいと判断(実際は11時53分)。まだお昼だと安心して、待ち合わせまで洗濯したり、雑誌を読んだりして時間をつぶしていたところ、雑誌に柱時計の写真が。それを見ただけでビクっとしてしまいます。

その後、お腹が空いてきたので、ふだんの感覚で13時ごろかと推定(実際は13時13分。腹時計という名の体内時計を駆使してみるも、推定時刻は後ろにずれてきたようです)。パンを口に放り込み、そろそろ14時だろうという時間に待ち合わせ場所へ。果たして何分ぐらいのずれが? と思ったら途中のビルに時計が! 待ち合わせ場所に到着する前に、14時22分ということを否応なく知らされます。ここまで見ないでがんばってきたのに、なんでこんなところにどこにでもあるのね、時計って!

結局、待ち合わせ場所に着いたのは14時半。時計なしで30分遅れなら、許容範囲でしょうか。とにかく、自分が早く着いてしまうよりはましです人としてどうなのか。

1時間ほど話をしたあとで、また時計なしの部屋へ。おやつのパンをほおばっていると、サイレンで16時半と17時を知らされてしまいました。耳からも情報が! これはさすがに防ぎようがありません。しかし、意外なところからの情報入手で油断したのがいけなかったのか、その後うたた寝。起きると真っ暗です。おやつを食べたせいで、腹時計は反応しない。もう何の手がかりもありません。なんとなく深夜ではないような気はするのですが(実際の時刻は20時過ぎでした)。

その後、時間がさっぱりわからないことから悶々としてきたため、ついにギブアップ。片付けていた時計を見ると22時でした。うーん、やっぱり時計なしの生活は難しいようです。

ところで、今回の実験では、太陽の位置とともに体内時計を使ってみたつもりです。せっかく実験したので、その結果をもとに、独立行政法人産業技術総合研究所・生物時計研究グループ主任研究員の宮崎 歴さんに体内時計についてお話を伺いました。

「人の体内時計は、日光などの外的な影響を受けずに自由に生活した場合、1日が約25時間になるといわれています。それでは実際の1日の長さである24時間とずれてしまうので、日光を浴びたり、食事をとったりすることで体内時計を24時間にリセットし、調整しているんです。そのため、生活パターンが一定なら、時計がなくても起床や食事のタイミングからだいたいの時刻を推測することはできます。ただ、あくまでだいたいの時刻で、5分単位などで時間を知ることはもちろん無理です。また、何分経ったかという時間の経過も体内時計ではわかりません。ところで、毎日何時に寝ているんですか?」(宮崎さん)

あ眠るのは夜中の12時だったり2時だったり朝方だったりとバラバラなんですが。

「ある日は12時に眠る、ある日は朝方に眠るというような生活では、1日の波がおかしくなってしまいます。不規則な生活のままでは、体内時計をうまく使いこなすのは難しいですし、集中力の低下やストレスの原因にもなります。また、夕方に寝てしまうと、睡眠のリズムがおかしくなるので夜に寝つけなくなりますよ。今の社会では難しいことですが、早起きしてしっかり食事をとり、早く寝るのが理想的なんです」(同)

代用以前に被験者に問題があったようですね。頼るべき体内時計を乱していたようです。スミマセン!

ところで、体内時計を知るためには、どんな実験が行われているんでしょうか。

「人を使った実験では、アショフというドイツの研究者が1962年に最初に行ったものが有名です。その実験は、洞窟を掘って作った部屋で行われました。もともとはナチスの収監所だった場所で、光の情報が入りません。実験では、起きたときに被験者が電気をつけて眠るときに消す、ご飯も朝、昼、夜と思うときに決められた場所から取り出して食べるというふうに暮らしてもらって、体内時計を調査したんです。その結果、日光などの影響を受けない場合、人の体内時計は1日が25時間だということがわかりました」(同)

そんな生活が、1日だけではなく1カ月ぐらい続けられたそうです。かなりハードな気がしますが、日々の仕事から逃れられるなら、隔離された部屋に行ってみたい気も。
写真提供/(独)産業技術総合研究所・生物時計研究グループ ネズミの脳の断面図。囲んだ部分が視交叉上核。左右それぞれ約8000個、計1万6000ほどの細胞からなります。人の体内時計と基本の仕組みは一緒で、宮崎さんが所属する研究所ではネズミなどの動物による実験を行い、それを人に応用させているのだそう

体内時計ってどんな仕組なの?



日光など外部からの影響がなければ、1日が25時間で進むという人の体内時計。もともと体のどこにあって、どのような仕組みで動いているのでしょうか。その秘密について、産業技術総合研究所・生物時計研究グループ主任研究員の宮崎 歴さんに伺いました。

「体内時計は、基本的には脳の中にある限られた領域の神経細胞だけで制御されているといわれています。脳にある視交叉上核(しこうさじょうかく)という1万6000個ぐらいの細胞が体内時計の働きをしているんです。もう少し細かい話をすると、体内時計のリズムは4種類の遺伝子で制御されているということがわかっています。これらは昼に働くもの2種類と夜に働くもの2種類にわかれているんです。この遺伝子の働きに大きく影響を与えるのが日光です。光の情報が入ってくることで昼の遺伝子が活性化され、それから12時間ぐらいたつと夜の遺伝子が活性化されます。これによって体内時計は実際の1日の長さである24時間にリセットされるんです」(宮崎さん)

なるほど。体内時計は脳に仕込まれているんですね。

「はい。ただ、さきほどお話しした体内時計にかかわる遺伝子は体中どこにでも、すべての臓器、さらには細胞にまであります。これらは視交叉上核を親時計とすると、子時計に例えられます。子時計は自ら動くことはなく、親時計からの信号で指令を受けて動きます。親時計から時間の信号が体中にある子時計に送られることで、睡眠と起床、消化と吸収が行われたり、体温、血圧、脈拍が周期的に変化したりしているんです」(同)

いろんなものに影響を与えているんですね。ちなみに、ガン細胞が増殖しやすい時間やアレルギーの発生しやすい時間帯があり、それに合わせて薬を服用する時間が考えられたりもしているそうです。また、親時計は、子時計からの影響を受けることもあるそう。

「たとえば昼食を抜くと、親時計からの指令でお腹は栄養を受け入れる準備ができているのに、栄養がやってこない状態になります。そのことが親時計にフィードバックされ、『昼じゃないのかな』と判断してしまう場合もあるんです」(同)

体内時計のことを考えても、ご飯抜きはよくないんですね。また、海外旅行や出張でよく耳にする時差ぼけも親時計と子時計が大きくかかわっているようです。

「時差ぼけは親時計と子時計がズレることが原因といわれます。親時計はわりと早く、1日か2日で現地時刻にリセットされやすいんですが、それに子時計がついてこれなくなるんです。親時計は現地時刻でも子時計はまだ出発国の時間という状態になることで不快感が生じ、眠気が出たり食欲がなくなったりという現象を引き起こしているといわれています。そのため、時差ぼけを早く解消するには、現地時刻に合わせて食事することや屋外で日光を浴びることで、子時計にどんどん現地の情報を伝える必要があります」(同)

さらに、宮崎さんによると、時差ぼけ以外でも意外なところに体内時計の影響があるそう。それはなんといわゆるブルーマンデー。土日が休みの場合、平日のように決まった時間に寝起きしなくてもいいことなどから、体内時計が25時間のリズムになってしまいがち。

そのため、通常は実際の時間と1日1時間しかずれないところを月曜の朝には週末分を足して3時間のずれが発生してしまいます。その影響で体調が優れなくなってしまうそうです。これを防止するには休日も規則正しく起き、外出して日光を浴びることがおすすめだとか。

憂鬱な月曜日をハッピーマンデーにするためには、土日は遅くまで寝たり、逆に24時間パーティだぜ! なんて夜更かししたりといった不規則な生活はしない方がいいんですね。 あらゆる場所に時計があるので、
やはり時計を見ずに生活することは現実には難しかったです。

今回の実験で頼りにした体内時計は、
規則正しい生活をしていれば、
だいたいの時間ならわかるかもしれません。
結局、体内時計は時計の代用品とはいいにくいですが、
睡眠をはじめ、体調に深くかかわる大事なもの。

だらだらと暮らしている僕は反省中です。
反省しながら、次の代用品を考えています。
本当は夜通し考えたいですが、
体内時計のためにも、もう寝ます。

みなさん、僕の代わりに
新しい代用品の案をぜひ送ってくださいまし!

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