アレをコレで代用してみたら・・・

第4回 消しゴム以外で鉛筆の文字は消えた?

2009.04.15 WED

アレをコレで代用してみたら・・・


写真提供/シード 昭和30年代にプラスチック字消しを発売したシードの代表的なプラスチック字消し「レーダー」。これは昭和43年発売当時のもので、紙には「PLASTIC ERASER」の文字が印刷されている

消しゴムはいつ生まれてどんな進化をたどったの?



子どものころから慣れ親しんできたアイテム、消しゴム。コレっていつごろ生まれたものなのでしょう。そこで、消しゴムメーカー、シードの広報担当の方に話を伺いました。

「消しゴムは、1772年にイギリスで初めて発売されました。その2年前にイギリスの化学者プリーストリーが、天然ゴムで文字が消せることを発見したんです。それ以前はパンを使って文字を消していたようです。日本では明治時代に消しゴムの需要が増加しましたが、それまで毛筆文化だったため、国産品はなく、外国製品に頼っていました。大正時代に入ってから、消しゴムメーカーがいくつか誕生したんですよ」

なるほど。消しゴムって200年以上も前からあったんですね。ちなみに、酸素を発見した人物でもあるというプリーストリーが、天然ゴムで文字が消せることを発見したのは1770年の4月15日。欧米では、この日をRubber Eraser Day(消しゴムの日)としているところもあるようです。消すことのできない素晴らしい功績ってやつでしょうか。失礼しました。
写真提供/シード これは天然ゴムを利用したプレミアム消しゴム「スーパーゴールド」。角に丸みをつけるなど多くの工程を経て作られ、傷や劣化を防ぐ保管用の箱もついている。お値段は税込525円だそう。一度は使ってみたいものです
ところで、彼が発見したのは天然ゴムで文字を消せることだそうですが、僕らがふだん使っている消しゴムには、「プラスチック字消し」って表記が。これって天然ゴムではないんですか?

「天然ゴムを使ったものは、ゴム字消しと表記されています。プラスチック字消しは軟質塩化ビニル樹脂から作られていて、ほかに使う材料や製法もゴム字消しとは違います。弊社では、昭和29年に軟質塩化ビニル樹脂によって文字を消す効果を高めることに成功して、その後、昭和30年代に世界に先がけてプラスチック字消しを発売したんです。ゴム字消しは製造に手間ひまがけっこうかかるのに対して、プラスチック字消しは加工しやすく、形や色、香りなども自由につけられるんですよ」

そういえば、香りつき消しゴムは子どものときに使ってたなあ。勉強そっちのけで匂いを嗅いでましたっけ。それが可能なのも、プラスチック字消しがあったからこそなんですね。ところで、消しゴムっていろんな色があるけど、なかでも白が多いような気がするんですが、それはどうしてなのでしょう。

「材料の塩化ビニル樹脂に白いものが多いんです。また、白と黒では白のほうがよく売れます。性能が同じでも、『白=消える』というイメージがあるのかもしれません」

そういうことだったんですか。それにしても、僕らが今よく使ってる消しゴム=プラスチック字消しが、もともと毛筆を使っていた日本で生まれていたとは。これも消えることのない功績といえますね。
今回用意した、消しゴムの代用品候補たち。ガムテープや輪ゴムなど、オフィスにありそうなものや、パンや小麦粉といった家にありそうなものを中心に選びました。しかし、粘土はあまりないですね。すみません

消しゴム以外のもので字消しにトライ!



消しゴムじゃないものでも、文字を消せるのでしょうか。使えそうなものを考えたけど、消しゴム登場以前に使われていたというパンぐらいしか思いつきません。というか、そもそもどんな仕組みで文字が消えているのかもわかりません。そこで、消しゴムはいかにして文字を消しているのか、消しゴムメーカー、シードの広報担当の方に聞いてきました。

「鉛筆で文字を書くと紙が黒くなりますが、それは鉛筆の芯に入っている細かな黒鉛の粒が紙の表面にくっつくためです。消しゴムの表面がこの黒い粒を吸い取ることによって、文字が消えるんですよ。消しゴムを文字にこすりつけると、まず黒鉛の粒が消しゴムの表面につきます。さらにこすると、黒鉛がついた消しゴムの表面が削れて、消しカスとして除かれます。そして、消しゴムの新しい面が現れて、ここに黒鉛がまた吸い付くという仕組みなんです。また、紙面をこすることで、紙の繊維に絡まった黒い粒も除かれ、文字がよく消えるのです。ただ、インクで書かれた文字は、紙に染み込んでしまっているので、消しゴムでは消せません」

ふむふむ。消しカスって、消しゴムと一緒に紙が削られているわけではなかったんですね。では、代用品としてオススメのものはあるのでしょうか。

「それほど文字が多くなければ、黒鉛を吸着させて取り除くという意味ではゴム質や粘着質のものであれば代用できるかと思います。ただ、たくさんの文字を消すには黒鉛を吸着した面がくずれ、消しカスとなって除去されなければなりません。パンで字が消えるといわれるのも、こすりつけることで黒鉛を吸着し、パンくずと一緒に除去され、また新しい面が出てくるからだと思われます」

なるほど! 消しカスのことまでは難しそうだけど、ゴム質や粘着質ってことを頭に入れればいいんですね。というわけで、今回は7品を試してみました! まず、代用品というよりは消しゴムにその座を奪われたパンと、パンに近そうな小麦粉を水で練ったもの。そして、ゴム質として指サックや輪ゴム、さらには粘着質としてガムテープ、粘土、そしてガム! 
7種類の代用品候補のうち、素晴らしいのはパンとガムテープ。かなり文字を消せます。指サックはある程度は消えるけど汚れが目立ってしまうので今ひとつ。そして、ガム…。汚い写真でごめんなさい
いよいよ代用品チャレンジ。HBの鉛筆でそれぞれの材料の名前を書いて、それを消してみることにしました。自らの名前を消せたものはあったのでしょうか。気になる結果は以下の通り!

●パン
食パンの耳を持って、白い部分でこすったところ、消えます! しかもこすったらパンの表面がボロボロッと削れて、消しカスみたいに。文字が完璧に消えるとまではいかないけど、使えます!

●小麦粉を水で練ったもの
こすってみると、ツルツル。力を入れると少しは消えましたが、パンの材料にはなるけど、消しゴムとしては使えないようです。

●指サック
オフィスに似合う指サック。ある程度は消えます。ただ、指サックに鉛筆がつき、そのせいでさらにこすると紙に汚れが。使えません。

●輪ゴム
文字は少しかすれるけど、指サックと同様に文字の周りが汚れていく。ダメです。

●粘土
文字を消したあとにうまいぐあいにボロッと削れそうなので、紙粘土をチョイス。こすってみると紙が白くなったけど、粘土が紙についてるだけのような。文字が消えなくてはどうにもなりません。

●ガムテープ
ほこりを取るような要領でペタペタっとやってみたところ、まあまあ消えているではありませんか。さらに、粘着度がやや落ちたところでこすってみると、パンと同じぐらいかなり消えます! なかなかいいぞ、ガムテープ! ただ、むだ毛をはがし取るときのように、紙は悲鳴をあげているのかもしれません。

●ガム
軽くこするとちょっぴり消えてるような気がして、さらに力を入れたところ、ベチャ。紙にくっつくという荒技で、ある意味文字は読めなくなったけど、消えたわけでは。

まとめてみると、以下のような結果に。

▼完全ではないが、けっこう消える
パン、ガムテープ
▼ある程度は消えるが、紙が汚れる
指サック、輪ゴム
▼少しは消える
小麦粉を水で練ったもの
▼うーん
粘土、ガム

今回試したなかでは、もともと使われていたパンに加え、粘着質のものではガムテープがいいようです。ゴム系は消えますが、消しゴムのように表面が削れないために汚れてしまう難点がありました。他は無理があったようです。また、パンやガムテープも、うっすらと文字が残ってしまって、読めなくなるまで消し去るには、ちょっと足りない感じ。消しゴムを超える代用品は見つかりませんでした。

そういうわけですので、オフィスで「あ、消しゴムがない!」という状態になったときは、パンを食べている人を探すよりは、消しゴムを持っている人を探しましょう。同僚の女の子が食べているパンを借りようとした日には、怪しまれること間違いなしです。 200年以上前にイギリスで誕生し、
天然ゴムからプラスチック字消しへ進化した消しゴム。
代用品を使う場合は、昔使われていたパンとともに、
ガムテープもよさそうです。

ただ、パンやガムテープは消しゴムほど
完璧に文字を消えません。
また、使っていたら、
周りからはヘンな人だと思われそうです。
注意しましょう。

しかし、この雑学の活用法はまだあります。
「机でパンを食べて、くずをぼろぼろとこぼして汚い!」
と周囲に注意されたときは、
「これはくずじゃない。文字の消しカスだ!」と
言い張ってみてはいかがでしょうか。
信用は消えると思います。

そんなわけで、消さなくてもすでに信用のない僕ですが、
「私はコレの代用品にアレを使っている」
「アレってコレの代わりになるんじゃない? アンタ試してみてよ!」
なんて情報をお待ちしています。
ドシドシお便りください!

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