奈良・興福寺より東京へ来訪中

仏像界きっての人気者!阿修羅って一体なにもの?

2009.04.16 THU



ヒムロイサム=写真photography ISAMU HIMURO
上野の東京国立博物館平成館で開催中の「国宝 阿修羅展」が盛況だ。出展されている奈良・興福寺の阿修羅像は、小顔のスリム体型で、数ある仏教美術の中でも傑作といわれる人気者。公認ファンクラブに1万2000人以上が入会するなど、アイドル状態だという。

「興福寺の阿修羅さまの魅力はなんといってもあの表情。優しそうでもあり、静かに懺悔しているようにも見える。見る側が自由に想像を膨らますことができる点が、人気のヒミツなのではないでしょうか」

こう解説してくれたのは、仏像ナビゲーターとして活躍する仏像ガールさんだ。

阿修羅──。R25世代なら『キン肉マン』に出てきたアシュラマンを連想する人もいそうだが、ここはひとつ「阿修羅ってなにもの?」をしっかり解決しておきたい。

「興福寺の阿修羅さまのスリムな姿からは想像もつかないかもしれませんが、阿修羅さまはインドでは戦いの神様で、帝釈天さまと戦うエピソードが有名です」(同)

『仏教早わかり百科』(主婦と生活社)によると、阿修羅には美しい娘がいたが、力の神・帝釈天が力ずくで自分の妻にしてしまったため、怒った阿修羅が戦いを挑んだ。阿修羅は劣勢を強いられるが、どうしても怒りが収まらず、執念深く戦いを挑み続けたという。阿修羅の荒々しいイメージはこれに由来するものといわれ、この戦いの場が語源になった言葉が修羅場なのだとか。怒りに我を忘れた阿修羅の姿けっこうコワそう。

「三十三間堂には、筋肉モリモリのコワイ阿修羅像もあるんです。戦いの後、阿修羅さまが仏教に帰依したのは慈悲の心を説くお釈迦さまの説法を聞いたからといわれています。興福寺の阿修羅さまは戦いばかりしていた罪を懺悔している表情だといわれます」(同)

端正な阿修羅像のあの表情の裏側に、こんなに波瀾万丈なドラマが秘められていたとは。時代や国によって姿も性格も異なるミステリアスな神様。そんなところも阿修羅の魅力のヒミツなのかも。


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