注射の「痛い!」がなくなる!?

“針”じゃなくて“電流”で注入!「痛くない注射」の未来予想図

2009.05.14 THU



イラスト:牧野良幸
子どものころ、ガキ大将も学級委員も目立たないアイツも平等に痛みを味わった予防接種注射。が! 将来的にこの恐怖体験がなくなるかもしれないのだ。その鍵を握るのは、3月に発表された「電流を使う予防接種(ワクチン投与)」。でも、電流って、針より痛かったりしないのか!? 開発に携わった京都薬科大学の小暮健太朗教授に尋ねてみると。

「痛くないですよ。これはイオントフォレシスといい、皮膚などに+電極と-電極を置いてごく弱い電気を流す方法です。同じ電気的な性質を持つもの同士がぶつかり合うと反発するという原理を利用しています。薬品が+の電気を持つならば、+電極と皮膚の間に固定。電流を流せば、+電子の反発により薬品が押し出され、毛穴を通って皮膚に浸透します。薬品が-の電気を持つならば、-電極の下に置きます」

いままでイオントフォレシスは、小さな分子でできている薬品の場合にしかできなかった。ワクチンの分子は、それらの数百倍以上の大きさ。だが、リポソームという油のボールと組み合わせたところ動物実験に成功したのだ。ただし、成功の理由は謎のままで、実用化まではまだまだ改良が必要なのだそう。

国際医学新聞『メディカルトリビューン』の伊藤茂編集長によれば、現在イオントフォレシスが使われているのは、局部麻酔薬やステロイド薬。イオントフォレシスの開発は60~70年代、アメリカを中心に活発化。アメリカでは、80年代後半から小児科や皮膚科などで使われているという。にしても伊藤編集長、なぜこうした開発が進んでいるんですか?

「注射に怯える幼児や薬をうまく飲み込めない高齢者、注射嫌いの人々のためでしょう。糖尿病など、毎日自分で注射を打つ必要がある患者さんの負担軽減にもなります」

将来、日本でも麻酔などの分野で使われるのでは? と伊藤編集長。我々の孫世代は「注射の痛みを知らない子どもたち」なんて呼ばれるのかも。


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