アレをコレで代用してみたら・・・

第5回 くの字型でなくてもブーメランは戻る?

2009.05.20 WED

アレをコレで代用してみたら・・・


パソコンでプリントアウトした文字をもとに厚紙で作った自作ブーメラン。果たして、このなかで市販の商品のように戻ってくるものはあるのでしょうか。

R、X、丑…どんな型でもブーメランになる?



「く」の字型や3枚翼の「Y」字型が知られているブーメラン。ほかの文字の型では戻ってこないのでしょうか。厚紙で自作して、試してみました。

ネットのブーメラン情報を参考にしながら作ったのは、6種類。オーソドックスな「く」型。左右対称でなんとなく戻ってきそうな「X」。「X」に似ているカタカナの「メ」や〆切りの「〆」。そして、R25の「R」に、漢字では干支の「丑」。パソコンからプリントした文字をもとに、不器用ながらも珍型ブーメラン完成です。

さっそく投げてみたところ、「く」だけでなく、「X」も見事に戻ってきます。さらに、意外なことにほかの文字も完璧には戻らないものの、ある程度は戻ってくるではないですか。でも、「〆」だけは戻ってくれません。「X」や「メ」は大丈夫だったのに。どうしてなんでしょう。日本ブーメラン協会代表理事の先光吉伸さんに話を伺ってきました。
先光さん特製の文字ブーメラン「春」。風の受け方などを考え、ちょっぴり文字がアレンジされている。このほかにも鳥型や亀型、富士山型など、様々な紙ブーメランが。
「今回試されたものだと『〆』以外の文字は戻ってきます。ブーメランとして成り立つには、揚力(浮き上がる力)を得る飛行機の翼に相当する部分があればい いんです。4枚の翼にあたる線が重心から各方向に同じように伸びている『X』は理想的ですが、文字が左右対称である必要はありません。ただ、『〆』は右上 から左下へ向かう線は長いのに、それと垂直に交わっている線がとても短いですよね」

たしかに「X」と似ているけど、そこが違いますね。

「短い線が翼の役目を果たしていないので、一つの軸上にしか翼がない状態なんです。極端にいえば「一」みたいな棒を投げているようなもの。こういう長方形型の文字は不安定でちょっと難しいですね」

そういうことだったんですか。ところで、「R」や「丑」は完璧に戻ってくれなかったんですが、それは何か理由があるんでしょうか。

「重心や風の当たり方を考えて、翼の長さや向きを微調整する必要があります。また、重さに対して翼が細すぎると、うまくいきません。それらを考えて作れば いいんです。私も『春』や『田』などの文字型や動物型などいろいろなブーメランを作っているんですが、ちょっと細工するだけで、しっかり戻ってきますよ」

ん、んん、文字型ブーメランはすでに存在していたんですか! 見せてもらったブーメランは、パソコンでプリントアウトした僕のものとは違って、翼になる部分の線の長さや太さ、向きに工夫がほどこされています。ブーメランって奥が深い!
上下の揚力の差によって傾こうとするブーメランだが、そこでそのまま倒れず、90度進行方向を変える力が働き、旋回して飛び続けることになる。これは、傾いたコマが回り続けるのと同じ原理だとか。

ブーメランが戻ってくる仕組みとは?



「く」の字型や「Y」字型など市販されている形に限らず、「X」や「R」など、戻ってくる形がたくさんあるブーメラン。ただ「く」や「X」のようにちゃんと戻ってくる文字の形でも、手作りする際に型を切り抜いただけでは手裏剣のようにまっすぐ飛んでいくだけでした。それが、翼が風を受けるように軽くひねったところ、戻ってくるように。なぜなんでしょう。そして、そもそも、ブーメランってなぜ戻るんでしょう。日本ブーメラン協会代表理事の先光吉伸さんに話を伺いました。

「ブーメランは縦に投げることで、上にきている翼と下にきている翼の浮き上がる力(揚力)に差を生じさせています。上側の翼は前向きにまわっていて、前進による風と回転による風が当たりますが、下側にきている翼は後ろ向きにまわっているので、受ける風が弱まります」

揚力に差が出た結果どうなるんでしょう。

「右手で立てて投げた場合は、左側に倒れようとする力が生まれます。このとき、回転していなければそのまま倒れて落ちてしまいますが、コマの首ふり運動の原理と同じく、回転していることによって倒れずに進む方向を90度変えようとする力が働くんです。それで最終的に旋回してもとに戻ってくるんですよ。また、ブーメランを水平に投げてしまうと、左右で揚力の差が発生します。これはブーメランを急上昇させる働きになり、危険です。横にして投げてはいけません」

ブーメランを縦にして投げるのは、そういう理由があったんですね。ところで、文字を切り抜いただけの紙が手裏剣のように飛んでしまうのは、旋回に欠かせない揚力がないからなんでしょうか。
先光さん特製の文字型ブーメラン「田」と「す」。風は重心から翼の先端に向けて引いた線に垂直に当たるため、文字型ブーメランはそれに合わせてアレンジする必要がある。重心はそれぞれの翼の先端を軽くつまんでブーメランをぶらさげたとき、必ず真下にくるポイントで、「す」の場合は黒い点の部分が重心になる。
「そうです。また、ブーメランは重心から翼の先端に向かって引いた直線と垂直に風が当たります。文字型ブーメランを作るときは文字の形をアレンジして、揚力を生む翼に相当する部分をしっかり確保することがコツのひとつです」

ちなみに、ブーメランには競技もあり、世界大会も開かれています。プラスチックや木のブーメランが使われ、投げてからキャッチするまでの早さや戻ってくる 正確性を競う種目などがあるそうです。投げたブーメランの速度は、速い人だと時速110kmキロにもなるとか。そんな速さだと、かなり遠くまで飛びそうな。

「いえ。投げる強さで変わるのはスピードだけです。飛距離はブーメランそのものの重さと揚力で決まるので、力一杯投げたからと言って遠くに行くわけではあ りません。ブーメランは翼を調整したり重りをつけたりすることで、飛距離や高さ、回転の速さなどを変化させられるんですよ」

へえ。翼や重さの調整がかなり重要なんですね。体と一緒に頭も使うスポーツだったとは。これは大人の趣味として、楽しめそう! 高校時代、物理をまったく勉強してない僕はちょっぴり後悔です。 ブーメランは、「X」や「R」「丑」など
「く」以外の文字型でも戻ってきます。
ただ、「〆」や「一」のような長方形型の文字は
戻ってきにくいようです。
また、しっかり戻すには翼や形の微調整が必要。
ちょっと難しいですが、調整をマスターすれば、
いろんな飛ばし方を楽しめそうです。
頭と体を使ったスポーツとして、
エンジョイするのもいいのではないでしょうか。
注目を浴びたい方は、紙を使った文字型ブーメランの
自作をお勧めします。
外でやる場合は、紙を2枚重ねにするなど、風対策もお忘れなく。
ただ、風が強い日はしっかり戻るように調整するのが難しく、
思わぬ方向に飛んでいくことがあるため危険だそうです。
風が弱い日にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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