アレをコレで代用してみたら・・・

第9回 ヒゲで砂時計は作れるのか!?

2009.07.15 WED

アレをコレで代用してみたら・・・


左から小麦粉、ヒゲ、ビーズ、ゴマ、塩を使った手作りの時計。市販されている砂時計と比べると、見た目があまりにもよくないですが、果たして砂のようにうまく流れ落ちてくれるものはあるのでしょうか。

砂鉄のようなヒゲを砂時計の砂の代わりに!



サウナにいるときや紅茶をいれるときに時間を測ったり、インテリアとして部屋に飾ったり。見ているだけで和んでくる砂時計。アレって砂以外のものを使っても、上の容器から下の容器へしっかりと流れ落ちていくのでしょうか。
さっそく、いろんな砂の代わりの素材とともに、容器になるペットボトルや瓶を用意して試してみました。その結果は。

ヒゲ10日間かき集めたものを15mlほどのボトルで試してみましたが、詰まってしまいました。残念。ヒゲ時計は一瞬であっけなく止まってしまいました。

小麦粉お酒の瓶に入れて落としてみると、うーん、すぐに詰まってしまいました。失敗です。

ゴマ40mlのプラスチックボトルで試してみたところ、下のボトルへ見事に落下。約3秒間ですが。ゴマ時計は成功です。

塩粗塩を40mlのプラスチックボトルに入れて落としてみたところ、詰まってしまい失敗。そこで、煎ってから再び試してみると、見事に落下。約3秒ではありましたが、塩時計の誕生です。煎った分だけ色がついて見た目も美しくなっています。

ビーズ40mlのプラスチックボトルでは少し詰まってしまい、完全には落ちませんでしたが、穴が大きいペットボトルでは、しっかり落ちていきました。約5秒、「シャーッ」という大きな音とともに。
小麦粉とヒゲは詰まってしまい、すぐにストップ。一方、ビーズ、ゴマと煎った塩はしっかり最後まで落ち切りました。穴が大きかったために勢いがよすぎて、数秒間しか楽しめませんでしたが…。
以上、ビーズとゴマ、煎った塩が、時間はとても短いものの、砂時計のように落ちていきました。成功と失敗を分けたものは何なのでしょうか。日本で数少ない砂時計職人である金子硝子工芸の金子實さんに伺いました。

「砂時計の砂のように均一の量を落とし続けるには、粒状のもので大きさがある程度整っている必要があります。粒が丸いほどスムーズに流れ落ちやすく、極端な話をすれば、ビー玉でも大丈夫なんです。ただ、小麦粉やきな粉のように粒が細かすぎるものは目詰まりを起こすのでダメです。容器にくっついてしまい、中が見えなくなる恐れもあります。ヒゲは脂分で容器にくっつくでしょうし、形も棒状でしょうから詰まってしまいますね」

なるほど。たしかに、ヒゲは容器にくっついて汚い見た目に。また、細かすぎる粉も無理なんですね。ところで、塩は煎ったものは落ちたんですが、これはなぜでしょう。

「湿っていると詰まってしまうんです。湿気を除いたサラサラした塩なら落ちるでしょう。砂時計の砂も、湿気は禁物です。雨の日は湿気を吸い込んでしまうので、容器に入れる作業はしないんですよ」

塩は煎った分、湿気が減って粒同士がくっつかずに落ちるようになったというわけですね。ところで、ビーズやゴマは下に落ちたとはいえ、あまりにも短い時間で落ちてしまいました。でも、落とす穴が小さいと落ちなかったりもします。それはなぜなんでしょうか。

「砂時計は、中のものを上から下に落とす穴の大きさが重要なんです。砂の種類にもよりますが、砂の粒子と穴の比率が1対6以上なら間違いなく落ち、それより穴が小さいと目詰まりを起こしてしまいます。逆に穴の大きさを広げれば、早く落ちるんです。砂時計の砂は、ピンからキリまでありますが、だいたい 0.1~0.2mmぐらいの大きさで、0.8~1mmぐらいの穴に設定しています」

砂時計の穴ってそんなに小さかったとは。ビーズやゴマは穴を通ることすら不可能ですね。

「そうですね。ビーズやゴマのような粒の大きなものだと、落とすのに必要な穴のサイズは大きくなるし、長い時間落としたいなら容器もかなり大きなものが必要ですよ」

中に入れるもの以前に、容器の工夫が必要なんですね。このあと、ビーズを入れているペットボトルの穴をビーズとの比率が1対6になるぐらいまで小さくして試したところ、なんとか15秒ほどのタイムまで延ばすことに成功。が、これ以上時間を延ばすため(たとえば3分計にするとか)には、もっと大きな容器が必要です。そんな大きな容器に入れるには、いったいビーズやゴマがどれだけの量必要なのか気が遠くなってしまいました。
金子硝子工芸作の様々な砂時計。くびれが複数あるのはフレンチサンドグラスといい、時間の途中経過もわかるそうです。天然の砂、砂鉄、シリカゲルのカラー砂、ガラスビーズ、ルビーなど中身も様々で、比重の違う2種類を入れ、下に落ちたときに色の違いを楽しめるものも。

砂時計の砂はどんな砂が使われている?



アナログ感や見た目の美しさがなんとも言えない砂時計。つい見入ってしまいますが、中に入っている砂にはいろんな種類がありそうですよね。もちろん、その名の通り、砂が入っていると思うんですが、どんな砂が使われているんでしょうか。
砂時計専門職人の金子硝子工芸・金子實さんに教えてもらいました。

「基本的には砂鉄を使っています。ふつうの砂よりも、砂鉄の方が粒子が整っているんです。また、乾燥剤のシリカゲルを細かくした人工の砂も使います。これは丸いので、スムーズに流れ落ちるんです。ほかに、オーストラリアのジルコンサンドという落ちがいい砂や、フラタリーサンドというガラスの原料にもなる砂、ガラスビーズなども使っています。また、お客さんが持ち込んだ海岸や砂漠の砂でも作っていますよ」

天然の砂ではないものも利用されているんですね。ちなみに、天然の砂は土地によって大きさ、形など様々な性質があるそうです。

「たとえば沖縄の海岸の砂は、サンゴが混ざっていることが多いんです。サンゴが混ざっていない方が砂時計には向いています。サンゴが混ざった砂はきれいなんですが、サンゴは粒の大きさが粗いものや平べったいものがあり、粘着性があるためにガラスにくっつきやすく、下に落ちにくい性質があるんです。ただ、訪れた砂浜の思い出を砂時計で形にされたい方もいらっしゃいますので、洗浄したりふるいにかけたりして、大きすぎるものや細かすぎるもの、不純物を取り除いて、砂時計に適したいい砂だけを残して作っているんです」

職人として、今ある技術のなかで最高のものを目指しているという金子さん。お客さんから持ち込まれるものは砂だけとは限らず、甲子園の土で砂時計を作ったこともあるのだとか。実は、土は細かすぎるため砂時計には向いていないものの、甲子園の土は、水はけをよくするための砂が混ざっているので、その砂を使って作ったそうです。ほ、ほしい。また、宝石屋さんの依頼でルビーやダイヤモンドを入れた高級な砂時計も作ったことがあるそう。ダイヤモンドの砂時計なんて、どうやって作るんでしょうか。

「ダイヤモンドだけではあまりに早く落ち切ってしまうので、中に粘着性のある油を入れてゆっくりキラキラ落ちるようにしたんです。ただ、高温になると油が膨張して栓から漏れて不具合が出ることがあるので、今は試作品の容器を送って、宝石屋さんがいろいろ調べているところです。この難点さえクリアすれば、100%OKなんです」

うーん、時間が経つのも忘れて見入ってしまいそうですね、ダイヤモンド時計。それにしても、砂時計って砂だけでなく、いろんな中身が使われているんですね。もちろん、穴の大きさや容器の大きさ、形の調整といった容器の技術も重要。この道40年の金子さんによると、砂を入れるガラスを作る技術を修得するために、3分計なら3年、1時間計なら10年はかかるのだとか。形を調整していろんな中身を使えるのは技術あってこそなのですね。 丸に近い粒で大きさが整っていれば、
砂時計の砂の代わりになるそうです。
あまりに細かすぎるものやヒゲは不可能。
他の使い道を探します。
また、砂のような小さな粒とは違い、
粒が大きなものは3分計でも
かなり大きな容器が必要になります。

今回、ペットボトルで自作した
ビーズの砂時計は見た目もいいけど
シャー、シャーッと流れる音が気持ちいいです。
あまりに何度も試しすぎて、
周りの仕事の邪魔をしていたような気もしますが、
気持ちいいので仕方がないです。
というわけで、シャーシャー音を立てながら、
皆様からの投稿もお待ちしています。
アレをコレの代用品にしてみろ、
という命令のような投稿でもOK。
よろしくお願いします。

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト