社会に出た今、太宰がわかる!

生誕100周年で続々映画化太宰治の生涯に刮目せよ!

2009.07.16 THU



写真提供/時事通信社
今なお多くのファンから熱く支持される太宰治。この昭和を代表する文豪が今年生誕100周年を迎え、続々とその代表作が映画化されている。そこで、『若いうちに読みたい太宰治』(ちくまプリマー新書)を著作に持つ明治大学文学部教授の齋藤 孝さんにお話をお伺いしつつ、太宰治をひもといてみました。

明治42年6月19日、太宰治は青森県で地元の名家・津島家の六男として誕生。この資産家出身というプロフィールは、彼の誇りでもある一方、彼を苦しめる一因でもあった。

「自分が特別な存在でありたいという思いが太宰にはありました。しかし家も継ぐことができないし、芥川賞受賞などの成功もない。そんな理想と現実とのギャップに対するもどかしさが作品の中に描かれています。太宰が描く主人公の多くは、現実の生活を1つずつ構築する能力があまりないんですよね。そんな中で、自分にとって大切なものとは何かと模索し続ける。そういう不安定さに人は魅力を感じるのでしょう」

就職の失敗や妻の不貞に苦しみ、恵まれた生い立ちへのコンプレックスと自尊心の狭間で揺れ動いた太宰は、生涯で計4度の自殺未遂と心中未遂を起こしている。 

だが、井伏鱒二の仲介で2度目の結婚をして平安の日々を得た太宰は、『富嶽百景』や『走れメロス』など秀作を発表。また戦時中にも『お伽草紙』や『新釈諸国噺』などユーモアあふれる作品を創出している。そして戦後に発表した『斜陽』が人気を博し、織田作之助、坂口安吾らと並ぶ自虐的でデカダンスな無頼派の一人として時代の顔となっていく。だが再び心にオリを溜めた太宰は、愛人と入水自殺するのだ。

「太宰作品の重要なテーマは世間の風あたりです。社会の厳しさや仕事の悩み、本当の夫婦のあり方など男女の深い関わりも描かれているので、R25読者は社会に出た今、より深く共感できるはず」(同)

この秋には『人間失格』の映画製作も開始される。学生時代とは一味違った太宰に会えるのは、もうすぐ!


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