ラーメンのない人生なんて…

第9回 ラーメンの命、スープを見切りたい!

2009.09.24 THU

ラーメンのない人生なんて…


同じ豚骨ベースの店でも、醤油・塩・味噌があると…悩んじゃうんですよね。ラーメン好きにとって、メニューのチョイスは結構な大問題です!

ラーメンのスープって、どんな素材がベースなの?



ある昼下がりのこと。ボクは、某ラーメンチェーン店のカウンターにいました。壁のメニュー表に目をやり、「どのラーメンを頼むっぺかな~」と悩んでいる最中、ふと思ったわけですよ。

「醤油、味噌、塩、とんこつ。先の3つはタレの名前なのに、なんで『とんこつ(豚骨)』だけダシの名前なんだろ?」

醤油ダレ、味噌ダレ、塩ダレなどの「タレ」と、豚骨や鶏ガラなど「ダシ」を合わせてできるのがラーメン。しかし、なぜタレとダシがごっちゃになっているのでしょう? ラーメンデータバンク社代表の大崎裕史さんに聞いてみました。

「そうですね。醤油、味噌、塩、豚骨という分類は、厳密にいえば正確ではありませんね。豚骨スープとか鶏ガラスープなどといいますが、それは豚骨なり鶏ガラなりを煮込んでできるダシのことですから。豚骨はダシとして多用されるメイン材料なので、豚骨ベースのラーメンでも、醤油豚骨、塩豚骨、味噌豚骨があります」

なるほど、豚骨は「醤油・味噌・塩」と並ぶほどラーメンに多用されているわけですね。しかし、ボクらが「豚骨」と聞くと、思いっきり白濁して独特のフレーバーが漂う、いわゆる「博多系の豚骨」をイメージしてしまいますが。

「いや、九州には豚骨の濃厚さが違うラーメンも結構ありますよ。代表格の博多ラーメンこそ豚骨100%ですが、熊本系は豚骨に鶏ガラを加えたスープが特徴ですし、鹿児島系は豚骨+鶏ガラ+野菜というマイルドなスタイルのラーメンになります」(大崎さん)

大崎さんによると、豚骨をベースにしたラーメンは全国的に見ても多数派。和歌山、広島、徳島などのご当地系は白濁した豚骨ベースのスープが特徴とか。これに醤油ダレを加えることで、いわゆる「醤油豚骨」系のラーメンになる。各地のラーメン文化において、豚骨という食材が大きな存在感を発揮しているのがわかりますね。

「豚骨と一口にいいますが、ゲンコツ(豚のヒザ関節)、アバラ・背骨、豚足、豚頭などの部位によって味は異なります。また、鶏ガラ、丸鶏、モミジ(鶏の足)などを使った鶏ベースのお店も首都圏では多いですね。これら豚骨・鶏ガラといった素材を『動物系』と総称しますが、そのほか、カツオ節、サバ節などの各種節や煮干し、昆布などの『魚介系』もラーメンのダシには欠かせない存在です」(大崎さん)

う~む。ダシタレという超シンプルな数式かと思いきや、ダシ素材という変数によって、膨大な組み合わせが生まれるわけですな。ラーメンという料理が秘める、無限大のバリエーションが分かったような気がします。
『九段 斑鳩』では、天然の魚介系素材を惜しげもなく投入する。手前からサバ節、カツオ節、花カツオ、羅臼昆布。坂井店主が自ら築地市場を歩いて選び抜いた逸品ばかりだ

ラーメンのスープを一口飲んでその原料を当てることは可能なのか?



スープを一口すすって、「あるじ、このスープには九十九里産の白口イワシ煮干しを使っておるな!」と言い放つそんな海原雄山のような男になりたい。これは全ラーメンフリークの心の叫びでしょう(ボクだけ?)。

とはいえ、目隠しで食べたら醤油と塩の区別すらつかなそうなボクには到底ムリ! じゃあ、これまで数千杯を食べ抜いてきた猛者たちなら、そんなテイスティングの妙技も可能なんでしょうか? これまで平らげた丼、実に1万7000杯! 「日本一ラーメンを食べた男」として知られる大崎裕史さんを直撃してみました。

「ハッハッハ! そんな芸当は無理ですよ! このラーメンは煮干しが前面に出ているな~とか、昆布の旨みを効かせているなぐらいは分かります。しかし、最近のラーメンでは、多彩な食材を組み合わせ、旨みが複雑に折り重なった重層的なスープがトレンド。そこで見いだすべきは、味をまとめあげる職人の腕、トータルバランスです。個々の食材の産地を見分けるなんて無理ですし、たとえ見分けることができてもあまり意味はありません(笑)」

ははぁ。豚骨や鶏ガラ、魚介ダシをふんだんに使う現代ラーメンでは、それぞれの食材の持ち味を生かす「Win-Win」なスープがベスト。それこそ、ボクらが『うまい!』と唸るラーメンなワケですね。
『九段 斑鳩』の「らー麺」(650円)。上品なコクと後を引く芳醇な香りが特徴的。潔いルックスながら、実にリッチな気分にさせてくれるラーメンだ!
「ここ2~3年は、コッテリした豚骨ベースのスープに、魚介系素材をたっぷり合わせる『豚骨魚介ラーメン』がブームです。96年にオープンした中野区の名店『青葉』が、豚骨などの動物系スープとカツオ節などの魚介系スープを別の寸胴で仕込んだ後にブレンドする『Wスープ』手法を編み出したことから、あっという間に全国に広まりました」(大崎さん)

胃袋にガッツリしたインパクトを与えてくれる豚骨スープと、日本人好みの魚介フレーバーのいいとこ取り『豚骨魚介』が日本を席巻するのは当然とお見受けした! では、今回は「Wスープ」系のエース格『九段 斑鳩』(九段下)のラーメンを実食してみましょう!!

むむ。これは口当たりがやさしくて、だけど食べごたえもバッチリ。パンチのある豚骨系を和風ダシがまろやかに包んでいる印象ですね。日本人に生まれてよかった~。

「ウチでは羅臼(らうす)昆布とカツオ節、サバ節、花カツオなど9種類の素材を用いています。以前は30種類近くを使っていたこともありますが、個々の素材の持ち味を生かすベストの組み合わせ、火加減を研究し続け、日本人好みの和風ダシが効いたラーメンを完成させたんです」(九段 斑鳩店主・坂井保臣さん)

時にはジャンクな一杯に惹かれてしまう日もあるけど、味噌汁のようにゴクゴク飲めるラーメンこそ、ボクらがずーっと食べていきたいラーメンなんですよね~。すみませ~ん、もう一杯おかわりいいですか? ラーメンの基礎知識を学んだ今回のレポート。

「ダシとタレ」の絶妙な丼内のタッグワーク、
ラーメンシーンを席巻する超大物ルーキー
「豚骨魚介」のポテンシャルを知ることができました。

さて、本連載はいつ何時でも、皆さんからの投稿は大歓迎!

「○○の自家製麺、サイコー!」
「□□の半熟味玉、一度食べてみて!」

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いや~、ラーメンってホンットにいいものですね~。
では、また!

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