世界各国で課題になっているようですが…

“原子力発電のごみ“ってどうしてる? 青森県六ヶ所村の再処理工場で、高レベル放射性廃棄物の現状を学んだ

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私たちが普段なにげなく使用している「電気」ですが…実は、電気を作る過程で“原子力発電のごみ”が発生しているのをご存じですか?

原子力発電は、使い終えた燃料をリサイクルできるのが特長。

そのため、エネルギー資源の乏しい日本では、資源依存度が低い「準国産エネルギー」として有効活用されています。

ただ…リサイクルの過程で「放射能レベルの高い廃棄物」が発生してしまい、その処分方法が世界各国で課題になっているのです。

そんな高レベル放射性廃棄物の現状について学ぶべく、新R25レポーターが青森に遠征!

青森県六ヶ所村の「再処理工場」と「高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター」にお邪魔し、施設の全貌を見せていただきました…!

〈聞き手=瀧山あかね(新R25レポーター)〉

まるで巨大プール!? 「使用済燃料」を保管する施設に潜入

お話を伺うのは、日本原燃株式会社 広報部の岩岡さんです
瀧山

瀧山

ここはなんの施設でしょうか?
岩岡さん

岩岡さん

原子力発電所で使い終わった燃料(使用済燃料)を水の中で保管する貯蔵施設です。
水の中…たしかにプールみたいな見た目
岩岡さん

岩岡さん

使用済燃料はリサイクルして再び燃料として利用できるため、使い終わったといっても、9割以上は再利用できる大事な資源なんです。

なので、ここは再利用できる使用済燃料を「再処理工場」で回収するまでの“一時保管場所”というイメージです。
瀧山

瀧山

へぇ! どのくらいの使用済燃料が保管されているんですか?
岩岡さん

岩岡さん

この貯蔵庫のなかには、1万2000本以上の使用済燃料が保管されているんですよ。
瀧山

瀧山

1万2000本!? そんなに大量の燃料を、どうやって保管してるんでしょう…?
岩岡さん

岩岡さん

水深約12mのプールの底に貯蔵しています。

プールの水は、使用済燃料から出る熱を冷却するだけでなく、放射線を遮る効果もあるんですよ。
水の中に見えるのが使用済燃料。この水が安全を守ってくれているんですね…!

24時間365日稼働。再処理工場の「制御室」の役割とは?

次にお邪魔したのはこちら。なにやらオフィスっぽい雰囲気ですが…
瀧山

瀧山

ここではどんな作業をされているんでしょうか? 見たところ、何かの管制室のように見えますが…
岩岡さん

岩岡さん

はい! ここは、再処理工場の工程の状態を遠隔で運転・監視するための制御室です。

1班60名以上の運転員が3交代で、24時間365日ずっと作業しているんですよ
瀧山

瀧山

「再処理」というのは、具体的に何が行なわれるんですか?
岩岡さん

岩岡さん

使用済燃料のなかで有用な成分である「ウラン」と「プルトニウム」を、それ以外の物質と分離して回収するための作業です。

具体的には、使用済燃料を小さく切って酸で溶かし、有用な成分を9割以上回収します。
岩岡さん

岩岡さん

それ以外の物質は再利用できない廃液のため、ガラス原料と融かし合わせて固めます。

そうしてできるのが、いわゆる“原子力発電のごみ”。専門用語では「高レベル放射性廃棄物」や「ガラス固化体」と呼ばれます。

再処理工場はまだ運転していませんが、試験運転の中でつくったガラス固化体は、再処理工場のガラス固化体専用の貯蔵庫で安全に保管しています。

その貯蔵庫に、これから案内しますね!

高レベル放射性廃棄物って、どうやって保管されてるの? 本当に安全…?

瀧山

瀧山

ここが「ガラス固化体専用の貯蔵庫」ですか…!
ズラッと並ぶフタの下に、ガラス固化体が貯蔵されているんだそう…圧巻
岩岡さん

岩岡さん

はい。現在こちらには、私たち日本原燃が電力会社から委託されて、フランスとイギリスの再処理工場でつくられた1830本(※)のガラス固化体が貯蔵されているんですよ。
※2022年5月末時点
瀧山

瀧山

1800本以上も…!? 安全面に心配はないのでしょうか?
岩岡さん

岩岡さん

そこはご安心ください。貯蔵庫の床は、こちらの図のように約2mのコンクリートでできているんですよ。
岩岡さん

岩岡さん

このコンクリートのおかげで、その下に貯蔵しているガラス固化体からの放射線を十分に遮ることができます。

貯蔵庫の上に人が立っても、ご覧の通りまったく問題ないんですよ!
放射線量を表す数値が「0」になっています
瀧山

瀧山

ガラス固化体は、ここでずっと保管され続けるんですか?
岩岡さん

岩岡さん

いえ、この貯蔵庫で保管するのは30~50年間です。

放射性物質は、時間の経過とともに減りますので、処分場で影響がでないように、ガラス固化体の表面温度が200度くらいから100度くらいに減少するまでの期間、ここで貯蔵しているんです。
瀧山

瀧山

ガラス固化体は、爆発したりしないのですか?
岩岡さん

岩岡さん

ガラス固化体には、臨界状態になる成分がほとんど含まれないため、爆発することはありません
岩岡さん

岩岡さん

ちなみに、ガラス固化体の冷却には自然の空気の流れを利用しています。

冷却するための機械も電気も必要としていない“自然空冷システム”なので、ほとんど人の手を必要とせずに、安全に保管できるんですよ。
瀧山

瀧山

へぇ! 想像していたよりずっと安全なんですね。
岩岡さん

岩岡さん

将来的には、さらに⾧期的かつ安全に処分するために、人間の生活環境から遠ざけ、地下300m以上深い安定した岩盤の中に埋めて処分する予定です。

これを「地層処分」と呼んでいます。
瀧山

瀧山

今日はありがとうございました!

高レベル放射性廃棄物が既に存在していることや、こうやって安全に保管されていることをまったく知らなかったので、驚きっぱなしでした。
岩岡さん

岩岡さん

電気が人間の生活に欠かせないものである以上、私たちも更なる安全性向上に向けて取り組んでいくつもりです。

今日ご紹介した「再処理工場」の内部を模型で再現している「六ケ所原燃PRセンター」もありますので、興味を持ってくれた方はぜひ見学にいらしてくださいね!
なんとなく「自分には関係ない」と思ってしまいがちですが…毎日電気を使う以上、「高レベル放射性廃棄物」も見て見ぬふりはできないもの。

平和な日常のウラには、さまざまな人の「安全」に向けた努力があります。

みなさんも一緒に、“原子力発電のゴミ”の処分について向き合っていきませんか?
出典Youtube
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