いつの間にか11月15日は「冬アイスの日」

「冬かき氷」や「夏おでん」が人気! “シーズンレス化”するフードが流行する背景とは

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ちょっと前まで、アイスといえば夏の専売特許だったけど、最近じゃ「冬は暖かい部屋でアイスを食べるのが至福!」なんて声もよく聞くように。実際そういったCMもよく見るようになった。

…と思っていたところに、「冬かき氷」がブームになりつつあるという情報が! また、近年は夏からおでん販売を開始するコンビニもあり、かき氷は夏の、おでんは冬の食べ物という“常識”がなくなりつつあるのかも。そのウラには一体なにが?

「志むら」「ひみつ堂」など、インスタを覗けば人気店の「冬かき氷」投稿がいっぱい!

現在人気のかき氷店は、ざっくり2パターンに分けられそう。1つ目は昔ながらの和菓子店や甘味処、和食店が提供するパターン、2つ目は台湾や韓国などアジア圏から進出してきた専門店だ。

これらのなかには、冬季もかき氷メニューを出す店舗がある! インスタグラムに投稿されている写真を見てみると、とろみのあるシロップ(というよりクリーム)がたっぷりかかった、夏のかき氷とはひと味ちがう“インスタ映え”する写真がいっぱいだ。
創業70年以上、東京・目白の老舗和菓子店「志むら」では、「さつま芋とラムレーズン餡」や「りんごキャラメル」が人気
有名店・谷中の「ひみつ堂」は、イチゴ、みかん、りんご、かぼちゃなど冬が旬の食材を使ったメニューが人気
2年前、台湾から初上陸したときには2500人の行列で話題になった「アイスモンスター」。冬の目玉は世界的ココアブランド「バンホーテン」とのコラボメニュー

業界が「冬アイスの日」制定!「冬は濃厚&リッチな氷菓を」というPRが消費者の意識を変えた

画像は「日本アイスマニア協会」オフィシャルサイトのスクリーンショット
冒頭の「冬アイス」の定着には、アイス業界の働きかけがあるよう。以前までは、寒い冬にはアイスの売り上げが落ちていたが、“冬は暖かい部屋で濃厚&リッチなアイスを食べよう”といったプロモーションをしているのだ。

2014年にはメーカー各社の協賛で「アイスマニア協会」なるものを設立。同協会は11月15日を「冬アイスの日」と制定したことを発表している。
「乳脂肪分の高い濃厚なクリーム系やチョコレートフレーバーをはじめ、寒い時期ならではのフレーバー「ラムレーズン」、濃厚な冬向けの「新感覚かき氷」といった様々な冬アイスが登場します。そんな濃厚なアイスをゆっくりと味わえるこの冬の時期は、真のアイス好き(アイスマニア)にとっては大変嬉しい季節」

出典http://www.icemania.jp

「冬かき氷」がブームの兆しにあるのも、おそらくこの流れが関係していると思われる。「冬は濃厚な氷菓」というイメージが消費者の間で根付きつつあり、果物やチョコレート、チーズを使った“濃厚”なメニュー展開をする店が増えているのだ。
2013年に東京・三軒茶屋にオープンした「和kitchen かんな」では、“マスカルポーネに和栗と抹茶”という和洋折衷が斬新なメニューや、たっぷりのマスカルポーネとココアパウダーで「ティラミス」のようなかき氷を提供している。

今年は8月からおでんを販売! 夏でも“相対的な気温差”で温かい食べ物へのニーズが高まる現象をとらえた

また、冬の定番商品「おでん」も、“シーズンレス化”が進んでいるよう。

8月23日付の『食品新聞社』の記事によると、“おでん市場”自体は縮小傾向にあるとのこと。これに対して、コンビニ各社は「まだ暑い時期に前倒し発売し、販売期間を延ばす」という戦略に出た。

2017年は8月8日から早々とおでん販売を開始したローソンのニュースリリースによれば、「夏場でも前日よりも気温が下がると体感温度が低下し、温かい食べ物へのニーズが高まると言われている」そう。肌寒さを感じる細かいタイミングも逃さず、おでん需要のピークとされる9月、10月に備える戦略のようだ。

コンビニ側の戦略だけでなく、冷房環境が続くと温かいものが食べたくなるなど、消費者側にも「夏におでん」ニーズはある。また、健康志向や低糖質ブームも、季節を問わずおでんを求める声につながっていそうだ。

これまではちょっと違和感のあった「冬にかき氷」、「夏におでん」現象。いずれにしても、両方とも1年をとおして楽しめるのはありがたい!

〈文=新R25編集部〉