IT企業創業→サッカークラブという異色のキャリア
「指示しなくても人を動かせる人 が強い」えとみほが失敗から学んだマネジメント論
ツイッター上でのマイルドながら核心を突いた発信を、目にしたことがある方も多いかもしれません。
$大企業が強いのは、余剰人員を抱えられるので「できない(やらない)人に仕事を与えない」マネジメントができるから。中小零細は余剰人員がいなくてこれができない。そうなるとできない(やらない)人にも重要な仕事が割り振られ、本人は「自分は必要とされている」という勘違いから抜け出せなくなる。
今回は、創業社長、会社員、スポーツクラブの部長など、さまざまな立場でチームを動かしてきたえとみほさんの「マネジメント論」を聞いています!
最近チームリーダーを任せられるようになった…というR25世代は必見ですよ~。
〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)〉
37歳まで会社員経験がなく、最悪のマネージャーだった
天野
えとみほさん
えとみほさん
「禁煙セラピー」っていうのを広める会社の社長だったときは、「社長は何もわかってない」って言って辞める人が続出するみたいな感じで。
天野
えとみほさん
“会社員のモチベーション”がわかってなかったんですよね。なので、その失敗経験を踏まえた内容ならお話しできますよ。
デキるマネージャーは、「ノンバーバルの力」がすごい
えとみほさん
天野
えとみほさん
天野
えとみほさん
部下が、目標を達成できなかったとか、ミスしたとか、よくない報告をするじゃないですか。怒られるかなと思っても、怒られないんです。
ただ…
天野
えとみほさん
言葉では「よく頑張ったよ」って言うんですけど「ハア…」って(笑)。そうすると、部下としては詰められても責められてもないんだけど、ものすごく申しわけない気持ちになるんです。
で、社長のそんなにガッカリした顔を見たくないから自然と「頑張らなきゃ!」ってなるんです。
天野
えとみほさん
でも、「ガッカリする」とか「喜ぶ」とか、心の底から感情的になるほうが、人を動かせるんですよね。ノンバーバルの力ってすごいんですよ。
天野
デキるマネージャーは、「役者」である
天野
えとみほさん
仕事がデキる人って、そのへんのコミット力がすごいと思うんです。自分すらもダマせてしまう。デキるマネージャーは「役者」なんですよ。
えとみほさん
私がGoogleで働いていたとき、Tさんという女性がいたんです。彼女は、いろんな寺社仏閣を撮影しないといけないっていう難しい仕事にアサインされてたんですけど…
天野
えとみほさん
でも、めちゃくちゃ調べて、お寺や神社に対する愛着というか熱量がすごい人になっていた。気づいたらまわりの人もどんどん巻き込まれていって。
天野
えとみほさん
で、さらにすごいのが、最終的には「京都に住みます!」って移住しちゃったんですよねよ。
東京から行って話してても、京都のお寺の人には信用されない。何より自分がもっとお寺の近くに住みたい、と。結果的に地元のコミュニティに入り込んで、撮影のプロジェクトを成功させたんです。
天野
えとみほさん
「あんなに寺、寺言ってたのに!」って感じ(笑)。
完全にダマされたって。とんでもない「役者」なんですよ。
デキるマネージャーは、チームに夢を見させる
天野
$あと、若者の自走マインドのなさを嘆く上司は多いですが(私もたまにそうなりがちですが)、これは単純に「ワクワク感が足りない」ことに起因しているんじゃないかと。少なくとも半分くらいの子は、ワクワクする未来が見えれば一生懸命動きますよね。
えとみほさん
そのためには、「夢を見せる」ことですよね。
えとみほさん
天野
えとみほさん
もうすごい熱気で、「J1に上がったら、毎試合こんなすごいのか!」ってスタッフもワクワクしてましたね。
$めちゃくちゃ人いる。<a href="https://twitter.com/hashtag/%E5%A4%A9%E7%9A%87%E6%9D%AF?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#天皇杯</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/%E6%A0%83%E6%9C%A8SC?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#栃木SC</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/antlers?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#antlers</a> <a href="https://t.co/r7p1xRixQz">pic.twitter.com/r7p1xRixQz</a>
天野
あれもうまく空気をつかまないと、上滑りして“恥ずかしい感じ”になっちゃいますよね…
えとみほさん
さっきの「言葉はいらない」と少し矛盾するんですが、そういうときはツイッターが使えるんですよ。
天野
えとみほさん
でもSNSなら暗闇に向かって語ってるようなものなので(笑)。自分のゆずれないポリシーだとか、仕事のこだわり、将来会社をこういうふうにしていきたい、みたいな話もできます。
最近発信したのは、これですね。
$とくに「11.伝えたいことは1回で伝わると思うな。(同じテレビCMを何回も見るのと同じように、同じ内容を繰り返し伝えることが必要)」は、ほんとにそうだと思う。1回見ただけで人の心に何かを残すことは難しいので、告知は「量(あえて回数とは言わない)」も大事。
えとみほさん
個人に向けて言ってると勘違いされると傷ついちゃう人も出てくるんで、“現在進行形で起こっている問題については話題にしない”とかいった配慮も必要です。
天野
ちなみに、えとみほさんがツイッターに書くと、チームメンバーはみんな見てるんですか?
えとみほさん
会議で「江藤さんがこの前言ってましたけど…」って言われたんだけど、それツイッターで書いてたことじゃない!?みたいな(笑)。
えとみほさん
たとえば「残業しないで帰りなさい」というメッセージを伝えたいなら、私はまず自分が早く帰ります。昔、これもGoogleのときの上司なんですが、7時に来て17時に帰る女性マネージャーがいて、すごく働きやすかったんです。
その人の真似をしていたら自然に朝4時に目が覚めるようになりました。
天野
えとみほさん
天野
えとみほさん
まあ、一貫して伝えたいのは、「人に何か指示して動かす」より、「自らの態度や普段の働き方で、自然に人を動かせるような人は強い」ってことですよね。
いまの世の中「ありのままの自分」でいるのがよしとされる風潮がありますけど、マネージャーに限ってはそれじゃダメなんじゃないかな、って気はしています。
しかし、まだまだ聞きたいことはたくさん。
ということで、9月17日(火)公開の後編では、現在の本業である「マーケティング」についてお伺いしています!
期待してお待ちください!
〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/撮影=長谷英史(@hasehidephoto)〉