オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

騙されないための思考力を身につける

2010.04.01 THU


『世界を信じるためのメソッド』 森 達也/理論社/1260円
過ちを繰り返すメディアと
どうやって賢くつきあう?

国が一方向に暴走するとき、そこには必ずマスメディアが強く関与してきた。戦前の日本しかり、ドイツのナチスしかりだ。ここ20年を見ても、本書前半で挙げられている松本サリン事件の犯人報道や湾岸戦争時の油まみれの水鳥など、メディアの過ちは何度となく繰り返されている。
かといって、メディアの存在を否定しても仕方がない。著者がいうように現代社会は「メディアは水や空気のように、道路や橋のように、僕たちの生活にとって、なくてはならない存在になってしまった」のだから。ならば、僕らはメディアと賢くつきあわなければいけない。でもどうやって?
本書は、メディアに客観性や中立性はありえないことを繰り返し説いている。著者自身、自分でカメラを回した経験をふまえて「何かを撮るという行為は、何かを隠す行為と同じことなのだ」と断言している。ニュースを選択する段階、撮影対象を決める段階、素材の編集をする段階など、ニュース番組が出来上がるまでの各段階で、どうしたって主観が入りこむ。日々、僕らが視聴しているニュース番組は、膨大な主観の集積から成立しているのだ。
「大切なのは、世界は多面体であるということ。とても複雑であるということ。そんな簡単に伝えられないものであるということ」。これを自覚することだけでも、ニュースの見え方は大きく変わってくる。
メディア・リテラシーは、世界に絶望するためではなく、世界の豊かさを享受するためにこそ必要なのだ。

  • 人事のプロ、熱く語る

    『雇用の常識「本当に見えるウソ」』
    海老原嗣生/プレジデント社/1600円

    終身雇用は崩壊して、正社員の数も減ったし、昔のほうがきっとよかったはず…。って、ちょっと待った! このような日本の労働・雇用にまつわるさまざまな通説にツッコミを入れたのが本書だ。読み進めれば、一般的な印象とは異なる、日本型雇用の長所と現在の問題点が見えるはず。今後のキャリアを考えるうえでも、自分を取り巻く雇用環境を知っておいて損はない。
  • 目と心からウロコがポロポロ落ちまくり!?

    『心理学で何がわかるか』
    村上宣寛/ちくま新書/861円

    心理学について当たり前のように多くの人がイメージしていることに対して、その誤解や間違いを容赦なくえぐり出す怖い本。俗説についても、「記憶力そのものを鍛えることは無理」「暴力的な映像が暴力行為を助長することはない」といった見解を次々と打ち出していく。心理学の最前線では何が論じられているのかも見えてくる、実に心強い1冊だ。
  • 本質を見抜け!

    『だまされない〈議論力〉』
    吉岡友治/講談社現代新書/756円

    もっともらしい話を聞くと、僕らは正しいのかどうかもわからないまま、つい納得しちゃいがち。だが著者は、難しそうな発言や文章でも、その構造や骨組みを見れば、意外にも単純なことが多いと指摘する。論文やレポートのみならず、会社の会議だって議論の連続だ。うまい話に騙されないために、議論のスターターキットとも言うべき本書をオススメしたい。
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騙されないための思考力を身につける

※フリーマガジンR25 261号「R25的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文
text TETSUYA SAITO

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