オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

年に1度ぐらいは大いなるバカになろう

2010.08.19 THU


『ワセダ三畳青春記』高野秀行/集英社文庫/580円
キミは冷たいレトルトカレーを
ご飯にかけたことがあるか?

この著者と来たら、大学時代というせいもあるけれど、一年に一度どころか年がら年中、おバカなことをやらかしていた。
食事からしてハチャメチャだ。米は洗わずに炊き(無洗米ではない)、レトルトカレーは、温めずに冷たいままご飯にかける。自炊でカレーや豚汁を作ったら、20回は食べ続ける。
仲間と横浜の山下公園に出かけてインチキ占い師をやってみたり、「経済不活性化計画」と称して部屋に閉じこもったり。デフレ不況もなんのその、探検部としての活動をしていないときの著者は「怠惰」を絵に描いたようなライフスタイルを守り続けた。
プールにバイト、古本屋めぐりなどで、あっという間に1週間は過ぎていく。そして金がたまったら、いざ探検に出発! その破天荒な探検の数々は『幻獣ムベンベを追え』『ビルマ・アヘン王国潜入記』などの著作に譲るが、どう考えても学業とは全く無縁の学生生活を突っ走っていたことは想像に難くない。
もちろん、長いモラトリアムもいつか終わりが訪れる。「ここにいつまでもいてはいけないのだ」。大学を卒業し、30歳を過ぎた著者も、さすがに「本格的にヤバいな」と思うに至った。そして、ある出来事をきっかけに長く住んでいた野々村荘を卒業する。そして、第六章「遅すぎた『初恋』」。なんて美しい文章なのだろう。
おバカでさんざん笑わせて、最後は泣かせる。憎らしいほどに上手すぎる。貧乏青春記の大傑作だ。

  • 100円ショップで“常識”から自由に!

    『100均フリーダム』
    内海慶一/ビー・エヌ・エヌ新社/1050円

    カバーを飾るのは、こちらを見つめる黄緑色の目をした変なパンダ。そして、ページをめくると、かわいいとは言い難い人形、見る者の首をひねらせる小物などが続々と登場する。これらはどれも100円ショップの一角を彩る不思議なグッズなのだ。突飛で愉快な品々を見ているうちに、いつしか常識の枠は取り払われ、僕らは自由への第一歩を踏み出しているはずだ。
  • アイアン…じゃなくてアイロンマン?

    『そこにシワがあるから エクストリーム・アイロニング奮闘記』
    松澤 等/早川書房/1470円

    極限の状態下でアイロンを掛けるスポーツ、それがエクストリーム・アイロニングだ。その日本における第一人者が、自身のキャリアに基づき、過去の挑戦や醍醐味を綴ったのが本書。海中や断崖絶壁でのアイロン掛けと聞くと滑稽に思えるだろうが、内容は真剣かつ誠実なもの。心身を鍛え、技を磨き、大自然の中でシワを伸ばすというユニークな挑戦に君も魅了されては?
  • この祭りを見よ

    『奇妙な祭り 日本全国“奇祭・珍祭”四四選』
    杉岡幸徳/角川oneテーマ21/760円

    全裸の男たちが海へ駆ける! 大量のご飯を皆で一心不乱に食べる! 男性器の形をした神輿をニューハーフが担ぐ! これらはお笑い番組のワンシーンなんかではない。どれもこの国の四季折々に行われる祭りなのだ。風変わりな数々の祭りを前にして目が点になる人も多いかも。だけど、これも立派な我が国の文化。読んで参加した気分になり、楽しめばええじゃないか!
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年に1度ぐらいは大いなるバカになろう

※フリーマガジンR25 270号「R25的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文
text TETSUYA SAITO

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