オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

失敗したっていいじゃない

2010.12.16 THU


『べてるの家の「非」援助論 そのままでいいと思えるための25章』 浦河べてるの家/医学書院/2100円
勤勉と効率の逆をいく
「降りる生き方」に幸あれ!

会社をサボるのは悪いこと。10分の仕事を3分でできるようになることはすばらしいこと。何を当たり前のことを…と思うかもしれない。ところが、その当たり前とは正反対の思想があることを僕は本書で初めて知った。
北海道浦河町にある「べてるの家」では、精神障害を抱えた人々が共同で生活し、日高昆布の産地直送事業をはじめとして、様々な事業を展開している。べてるを取材した本は数多く出ているが、本書は、ソーシャルワーカーやメンバー自身など、べてるに直接関わる人たちによる内部レポートのような作りになっている。
読んでいて、とにかく傍線を引きたくなるのが「べてるの家」から生まれたキャッチフレーズの数々だ。「降りる生き方」「安心してサボれる職場づくり」「偏見差別大歓迎」など、世間の常識とは逆をいく魅惑的なフレーズは、勤勉や効率を至上命令としてきた近代資本主義の突破口ではないかとすら思えてくる。
ソーシャルワーカーの向谷地さんの言葉が印象的だ。「普通の企業であれば、十人でこなしている仕事を五人でこなせるようになることを重視し、効率をあげようとする。しかし、べてるではそれが成り立たない。一人の仕事を、二人、三人でこなせるようになることが、べてる流の効率なのだ」。
幻聴を「幻聴さん」と呼んだり、G&M大会(幻覚&妄想大会)を開催したり、精神病を「ネタ」に昇華するべてるの住人たち。弱さや絶望を希望に代えるスイッチがここにはある。

  • 失敗にその人らしさが出る

    『失敗の教科書。』
    宮下裕介/扶桑社/1365円

    どんな天才や偉人だって人間だもの、そりゃミスや失敗をすることもある。就職活動で辛酸をなめたモーツァルト、30億円の借金を背負ってしまった矢沢永吉、コンペで負け続けた建築家・安藤忠雄。そんなビッグネームの失敗を綴った本書だが、面白いのは、失敗のときこそ、その人らしさが出てくること。彼らの失敗がどこか愛くるしいのは、それも含めて個性だからだろう。
  • 飲んで飲まれて~その先は?

    『酔って記憶をなくします』
    石原たきび編/新潮文庫/420円

    君は気づいたら服を着たまま入浴していた経験があるだろうか? この本は酔っ払ってとんでもないことをしでかした人たちのエピソードを集めたものだ。気づいたら雪山を裸足で歩いていた者、延々と扇風機に向かって語り続ける者、部屋の床にクレヨンで落書きをする者などが続々とご登場。こういったトホホな無数の失敗談を酒の肴にして──もう一杯!?
  • どこも仕事は大変なのだ

    『SEのフシギな生態 失敗談から学ぶ成功のための30ヶ条』
    きたみりゅうじ/幻冬舎文庫/600円

    著者がSE(システムエンジニア)として、現場で直面した多くの問題とそこから得た教訓を軽妙かつシビアに描いたコミックエッセイ。自分はSEじゃないから関係ないやと思うことなかれ。著者いわく「仕事というもののやり方について、大事なことは皆いっしょ」。ここにまとめられた人間関係からプロジェクト管理にまで及ぶ幅広い失敗体験から学べることはたっぷりある。
  •  
失敗したっていいじゃない

※フリーマガジンR25 277号「R25的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文
text TETSUYA SAITO

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