オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

背筋を“ゾゾッ”と冷やす本

2011.08.04 THU


『ゴーストハント1 旧校舎怪談』 小野不由美/メディアファクトリー/1260円
「完全版」となって
恐怖もグレードアップ

主人公の谷山麻衣が通う高校には、壊すと祟りがあるという旧校舎が取り壊されぬまま残っている。取り壊そうとすると、作業員が事故に遭ったり、工事のトラックが急に暴走したりと事故が続き、工事は中止になっていた。旧校舎には幽霊が出るという怪談話も、校内で出回っている。
取り壊しの工事をなんとか再開したい学校側は、「渋谷サイキックリサーチ」の所長・渋谷一也、派手な身なりの巫女、高野山の坊主、オーストラリア人のエクソシスト、女子高生霊媒師と、悪霊退治の専門家たちを駆り集めて、旧校舎の調査を依頼する。
とあるアクシデントから、渋谷の助手役を務めることになった麻衣。そりの合わないゴーストハンターたちは、それぞれに調査や除霊をしていくものの、次々と怪異な現象が起こり、麻衣もポルターガイスト現象に巻き込まれてしまう──。
本作は、小野不由美さんの出世作「ゴーストハント(悪霊)シリーズ」の新装版1作目。旧版は1989年の刊行で、長らく絶版状態が続いていたが、昨年、大幅な加筆を施した「完全版」として刊行が始まった。現在、7巻中5巻まで発売されている。
巻が進むにつれて、1巻では脇役感の強かった渋谷以外のゴーストハンターたちも、それぞれの能力を発揮し存在感を増していく。彼らの会話が軽快でユーモラスなだけに、ホラー小説の核となる恐怖シーンの描写が余計に際立つ。ぞくぞくするほど怖い。
各巻にちりばめられた伏線や謎の回収にも興味津々。残る2巻の刊行が待ち遠しくてたまらない。

  • 怖いのに面白い

    『霧が晴れた時 自選恐怖小説集』
    小松左京/角川ホラー文庫/700円

    どれだけ歩いても町へ出られない恐怖を描いた「すぐそこ」。赤紙を届けられた戦後日本の若者たちが姿を消していく怪現象に迫る「召集令状」などなど…。本書には日本を代表するSF作家が紡ぎ出したホラー短編が集められている。様々なスタイルの恐怖を読者に与える手腕は圧巻。物語の恐ろしさとともに、著者の見事なセンスにも肝が冷える。
  • オラオラオラ、ホラーだ、オラーッ!

    『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』
    荒木飛呂彦/集英社新書/798円

    『ジョジョの奇妙な冒険』で知られる人気漫画家は、大のホラー映画ファンでもあった! この本はそのホラー映画愛が惜しみなく詰め込まれたもの。読み始めれば、ゾンビ、ジェイソン、エイリアンと出るわ出るわの大盤振る舞い。今年の夏は、“現実や人間の暗黒面を描いた芸術表現にさえなりうる”これらの優れた作品を、家で震えながら堪能するのもありかも。
  • どこまでもどこまでも追ってくる…

    『ハートシェイプト・ボックス』
    ジョー・ヒル/小学館文庫/860円

    かつてロックミュージシャンとして成功をおさめたジュード・コイン。その彼にとある事情から幽霊が取り憑いたことで、すべてが始まった。数々の異変が周囲で起こり、追い詰められていく彼の運命は──。コインを狙う幽霊の執拗さは、読者を戦慄させること請け合いだ。寝苦しい夜は、こんなボリュームたっぷりの怪奇小説を読んで涼んでみるのも悪くない。
背筋を“ゾゾッ”と冷やす本

※フリーマガジンR25 290号「R25的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文
text TETSUYA SAITO

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