給与引き下げの撤回を迫る手も…

会社の理不尽と戦える?「労働審判」制度の効力

2011.11.17 THU


裁判所に払う手数料は訟訴額による。100万円なら5000円、1000万円なら2万5000円となる。弁護士に依頼した場合は、別途依頼料もかかる
イラスト/もりいくすお
ブラック企業なんて言葉が当たり前に使われる昨今。会社からの理不尽な扱いも他人事ではないかもしれない。もし、いきなりクビになったり、賃金の未払いなどがあったりしたら…。労働問題に詳しい佐々木亮弁護士によると、個人の労働事件を解決する方法には、「会社の労働組合への相談、都道府県労働局によるあっせん、“労働審判”」などの手段があるという。

とはいえ、労働組合の組織率は年々低下しているし、都道府県労働局のあっせんは互いの合意が必要で、条件が折り合わず解決しないケースが少なくないとか。

「そこで生まれたのが労働審判なんです。裁判所による手続きで法的実行力があり、3回以内の審理で迅速に処理する仕組みです」

紛争当事者が地方裁判所に審判を申し立てると、労働審判官(裁判官)と一般人の労働審判員2人の計3人によって案件が裁かれる。労働審判員は1人が連合など労働団体から、もう1人が経団連などの経済団体からの推薦で選ばれる。彼らは紛争当事者と話し合い、慰謝料や地位保全などお互いが納得いく内容で調停できるように計らうわけだ。もし合意できなかった場合は、裁判での判決に相当する審判が下される。審判を受諾すれば紛争の解決、異議を申し立てれば、自動的に民事裁判へ移行することになるという。

「案件の約7割は調停が成立しており、解決までかかる日数は平均約73日。なかでも解雇に関する紛争は調停率が高い傾向があります」

労働審判は、解雇など重大な事案の場合に申し立てられることが多いが、佐々木弁護士が扱った事案には「年俸引き下げの撤回要求」や「有休の買い取り請求」「社内でのいじめ」などもあったという。

「会社から違法な扱いを受けても、諦めてしまうと後々争うのは難しい」と佐々木弁護士。我慢できないような理不尽があったときのためにも、こういった制度があることをしっかりと知っておきたい。
(笹林 司)


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