オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

サラリーマンのための教養本

2012.02.27 MON


『15歳からのファイナンス理論入門』 慎 泰俊/ダイヤモンド社/1500円
社会を見る解像度がアップする
汎用性の高い思考ツール

ファイナンス理論なんて聞くと、金融機関につとめる人たちだけが学ぶ専門理論のように聞こえるかもしれないが、さにあらず。著者は、中学生からファイナンス理論を学んだ方がいい理由として、不確かさとうまく付き合えるようになること、変なもうけ話にダマされにくくなること、世の中のいろいろな仕組みがわかりやすくなること、という3点を挙げている。
「15歳からの」と謳うだけあって、内容はきわめて平易。バスケットボールのシュート成功率からリスクとリターンの説明をしたり、試験勉強の計画の作り方からリスク分散を解説したり。本気で中学生にファイナンス理論を教えようという意気込みが、文章はもちろん図解やたとえ話のあちこちから感じられる。
社会人になれば、学生のとき以上に、時間やお金の使い方に頭を悩ませるし、先の人生には転職や独立というキャリアチェンジだって待ち受けているかもしれない。そんなときに、“相関の低いものを数多く組み合わせれば、リターンを変えずにリスクを下げられる”“将来の物事の価値には待つことやリスクの対価も含まれる”など、本書から得られる様々な示唆は、使える思考ツールとして役立ってくれるはずだ。
さらにファイナンス理論の考え方は、株式会社や保険制度、三権分立、言論の自由など、社会の仕組みをも上手に説明してくれる。その汎用性の高さも大きな魅力であり、社会人の教養と呼ぶにふさわしい。
本書の内容をしっかり吸収すれば、自身の生き方のみならず、社会を見る解像度も高くなることうけあいだ。

  • 日本社会の実験場

    『日本的ソーシャルメディアの未来』
    濱野智史、佐々木 博・著、ソーシャルメディア・セミナー・編/技術評論社/1554円

    ソーシャルメディアの活用も、現代の社会人にとっては必須スキル。が、単なるスキルとしてだけでなく、社会や人間のあり方を考える材料としても、ソーシャルメディアには大きな可能性が眠っているのだ。情報社会の時間性、ネットはコミュニティか、ソサエティかなど、本書で扱われる論点を知ることで、インターネットという“場”の実験性が見えてくる。
  • 難問は分割せよ

    『方法序説』
    デカルト/岩波文庫/504円

    数ある哲学書の古典のなかでも、抜群に読みやすいのがデカルトの『方法序説』だ。「順序だてて、単純なものから複雑なものに到達せよ」など、デカルトが理性を正しく用いるために挙げている四つの規則は、仕事やビジネスでも大いに参考になる。デカルトが自身の生活ルールを述べたくだりも面白い。デカルトは日常的な行動では断固として“迷わない男”だった。
  • 自分で調べ考える

    『日本の歴史をよみなおす(全)』
    網野善彦/ちくま学芸文庫/1260円

    著者は、日本の中世史に、数々の画期的な発見をもたらした人物だ。多くの著書があるが、「網野史観」の入門書として本書をオススメしたい。日本人の貨幣観、多様な職能民の姿や暮らし、農村中心の日本社会像に対する問い直しなど、“教科書が教えてくれない日本史”の目白押し。常識や先入観に対して、自ら調べ考えることの大切さを実感させてくれる名著。
サラリーマンのための教養本

フリーマガジン別冊R22 「R22的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文

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