社会起業家は“新しい公共の担い手”

ソーシャルビジネス人気が拡大中

2012.04.09 MON


農家を継がずに東京で働く息子や娘が始めた社会起業「セガレ」では、実家の野菜販売や実家での農業体験など、複数のプロジェクトを展開
若手起業家と聞くと、いわゆる“ITベンチャー”を想像する人は少なくないのでは。しかし今、同じ若手起業家でも「社会起業家」が注目を集めている。

彼らが目指すのは、格差の是正や貧困層の困窮などの社会問題を、ビジネスを通じて解決すること。「ソーシャルビジネス」と呼ばれるこの取り組みは、行政の手が回りきらない社会サービスの網の目を埋める存在としても認知されつつある。たとえば日本では、病児保育を行う「フローレンス」や500円で手軽に健康診断が受けられる「ケアプロ」などがその代表例。彼らの特徴は、事業運営の資金を寄付だけに頼らない点にある。事業継続に必要な利益は事業を通じて自ら確保し、安定的に事業運営にあたろうというわけだ。しかし、なぜ若手社会起業家が増えつつあるのか? ソーシャルビジネスに詳しい、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの水谷衣里副主任研究員に聞いた。

「ひとつは、2000年代に口火を切った若手社会起業家が一定の成果をあげ始めたこと。ビジネスとしても成立し、社会に必要とされていることがわかり、若い世代の意欲が高まりました。もうひとつは、挑戦を支援する組織の充実です。たとえば、社会起業家育成のインキュベーション(起業支援)を手がける『ETIC.(エティック)』。出資者を募り社会起業家に資金提供をしたり、仕事のスキルや経験を持った人を仲介したりする『ソーシャルベンチャーパートナーズ東京』。こうした団体が挑戦を後押ししているんです」

「超高齢化、少子化」が進む一方、莫大な財政赤字を抱える日本。多様化する社会サービスのすべてを行政が満たすのは事実上不可能だ。そんな行政の限界を踏まえ、“ソーシャルビジネスは新しい公共の担い手”として、期待されている。今後、ビジネスパーソンの働き方の選択肢として要注目であることは間違いないだろう。
(笹林司)


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