日常に潜む仕草のモテポイントを解説!

ひそやかな郷愁を発生させる うがいというドラマ

2013.01.31 THU

モテリーマン

モテリーマンはときおり給湯室でうがいをする。誰もいない隙にガラガラ&ペッ。だが、現場を見た者は、目を離せなくなる。男は見られていることに気がつかず、天真爛漫に水を吐く。ちょっとした覗き感覚にとらわれながら見る、OLちゃんの心に去来するものは…ノスタルジー!

まずは〈サッカー部の先輩〉スタイル。蛇口に直接顔を寄せ、水しぶきを上げながら、さわやかに水を含んでいく。スーツに隠された少年性をあらわにする一撃。後輩気分でドキドキのOLちゃんは、次の瞬間、驚愕する。“うがい・ボイス”が美しいメロディーを奏でているから。体育会系のはずなのに、いつのまにか男は〈軽音楽部のボーカル〉に。そして、最後は〈虹〉。口から発生する細かな霧と太陽光線が生み出すイリュージョン。体育会系→文化系→魔法。うがいを締めくくるとともに、OLちゃんの青春フラッシュバックにフィナーレをもたらす。

ここで初めて男は視線に気づく。ネクタイを直し、「ゴメン、使わせてもらったよ」。見られていることを知っていたのは、当然だ。

※フリーマガジンR25 77号「プチスマートモテリーマン講座」より

  • 青春時代へいざなう一撃

    彼女がどんな高校時代を過ごしていても問題はない。物陰から見つめる女子。その視線にまったく気づかない〈サッカー部の先輩〉。この様式美は日本人のDNAに刷り込まれている。給湯室という密室が、それを助長させる
  • お手本はスティーヴィー

    もちろんワンダー。無段階に上下する独特の音階を、水を含んだビブラートで再現する。いい声でメロディーを奏でさえすれば、それだけで〈軽音楽部のボーカル〉なのだ
  • きちんと現実に戻すこと

    ボーカルからさらに体を反って〈虹〉。文化祭最終日気分のクライマックス。見とれているうちに、いつ水を吐いたかはわからない。振り返る男はスーツ姿のサラリーマン。すべての切ないフラッシュバックが、彼の姿に凝縮されるのだ
ひそやかな郷愁を発生させる うがいというドラマ

武田篤典(steam)=文
Shu-Thang Grafix=絵

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