オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

アイドルは時代を映す

2013.03.07 THU


『ジャニ研! ジャニーズ文化論』 大谷能生、速水健朗、矢野利裕/原書房/1680円
ジャニーズ抜きに
日本の戦後史は語れない

いやはや、たまげました。「ジャニーズ」とは何なのかという問いに対して、本書はジャニーズの生みの親であるジャニー喜多川の来歴を通じて、驚くべき解答を提出している。すなわち「『ジャニーズ』とは日本人が洋楽を真似しているんじゃなくて、アメリカ人が洋楽を日本化してわれわれに届ける、一種の占領政策である」と。

その根っこにあるのは、ベースボールと『ウエスト・サイド物語』だ。日系二世のアメリカ人であるジャニーさんが日本にやってきて少年たちに野球を教え、そのチームの4人を連れて『ウエスト・サイド物語』を観に行ったことから、50年に及ぶジャニーズの歴史は始まった。

考察の範囲は多岐にわたっている。楽曲解説やグループ解説は言うに及ばず、AKBやEXILEとの比較、ディスコ文化との関係、コンサートシステムやタイアップビジネスなど総体としての「ジャニーズ文化」を詳細に分析した本書は、秀逸な戦後文化論、戦後消費社会論としても読むことができるだろう。

とりわけ関心を惹かれたのは、第5章のミュージカルという切り口からジャニーズを考察したくだり。著者らの見立てでは、ミュージカルという舞台こそジャニーズの核をなすものであり、ジャニーさんが最もプライオリティを置いているものだという。そこまで言われると、ジャニーズの舞台DVDを観たくなってくる。

「戦後史を知るには、ジャニーズタレントの顔を首相の顔とともに並べるべきですよね」。ジャニーズ抜きに戦後日本は語れないのである。

  • アイドルにも歴史あり

    『アイドル進化論 南沙織から初音ミク、AKB48まで』
    太田省一/筑摩書房/1785円

    日本人は、アイドルという存在をいつからどのようにして受け入れ、好んで語るようになったのか? そんな疑問から出発する本書は、南 沙織、松田聖子、小泉今日子などのスーパーアイドルから、とんねるずや初音ミクといった意外な存在までも分析していく。時代背景、メディアの戦略、ファンとの関係など多くの要素を通して、アイドル大国・日本の姿が浮かび上がる。
  • 国民的グループのリアル

    『非選抜アイドル』
    仲谷明香/小学館101新書/735円

    AKB48の総選挙は1~40位が投票結果として発表される。41位以下は、非選抜のメンバーというわけだ。その非選抜メンバーの一人としての立場から、この本は書かれている。ひきこもりがちだった彼女が、自分の個性を把握していき、着実にポジションをつかむまでの歩み…。それはやりがいを見出せない人にも響くであろう、ステージ上のアイドルからの応援歌でもあるのだ。
  • アイドル愛!?

    『ライムスター宇多丸の「マブ論 CLASSICS」』
    宇多丸/白夜書房/1600円

    ヒップホップシーンで活躍するライムスターの宇多丸氏が、平成を彩った幾多のアイドルの楽曲をリアルタイムに論じた時評をまとめた1冊。2000~2008年の楽曲が対象のため、モーニング娘。を筆頭とするハロー!プロジェクトの顔触れが目立っている。軽快かつ鋭利な文章にノリながら、当時のアイドルシーンの移り変わりと今に続く道のりを目に焼きつけよう。
アイドルは時代を映す

※フリーマガジンR25 325号「R25的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文
桜井としき=撮影

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