あのイチローがやっていた!

『一人実況中継』のビジネス活用術

2014.05.21 WED


大事なプレゼンや商談など、ビジネスにおいて結果を出そうとするあまり緊張するシーンは多い。誰しもプレッシャーをはねのけたいところだけど、反対に緊張で硬くなってしまうことも…。そこで参考にしたいのが、イチロー選手が実際にやっていたというプレッシャー対処法。2009年のWBC決勝、ヒットを打てば優勝に大きく近づくという場面で、自分で「さぁ、イチロー選手、バッターボックスに入りました!」などと“一人実況中継”をしていたというのだ。なんだかおもしろそうな話だが、このような行動はあの大舞台でどんな効果をもたらしていたのだろうか?

「イチロー選手が行っていたのはイメージリハーサルとよばれるものです。緊張は、自分の知らない状況や体験したことのないものへの自己防衛本能から来るのですが、実況しながら今の状況を客観的にイメージ・仮想体験することで不安を軽くし、うまく緊張を弱めながら、気持ちも盛り上げていたんですね」

お答えいただいたのは、カウンセラーやメンタルトレーナーの育成を行うアイディアヒューマンサポートアカデミー学院長の心理カウンセラー・浮世満理子さん。イメージトレーニングによりどこまで緊張をほぐせるかは、“いかに具体的なイメージをできるか”にかかっているという。

「ただ映像を思い浮かべるのではなく、実況という形で状況を細かく言葉にしたことで克明なイメージができたこと。また、実況をすることでイメージにストーリー性を持たせられたこと。この2つの点により、イチロー選手はイメージを極限まで具体化できたといえるのではないでしょうか」(浮世さん)

「ここでヒットを打てば日本の連覇が近づきます!」「前の打席では2塁打を放っています!」といった、実況の常とう句が自然とストーリー性を持たせていたようだ。では、一人実況中継をビジネスに応用することはできるのだろうか?

「もちろんできます。イチロー選手のように、重要な場面の最中に心のなかで実況するのも有効ですが、事前に実況をしながらシミュレーションするとなおよいでしょう。実況するなかで過去にミスした点や今回重要となるポイントが自然に見えてくるので、イメージを強化し緊張をほぐすだけでなく、リスクマネジメントとしても効果があるはずです」(同)

プレゼンなら「今回のプレゼンで問われるポイントは○○。それに対してどのような説明をするのでしょうか」「前回は○○の部分を指摘されましたが、果たして今回その対策はできているのか」「さあ、この提案に社長はどう出るのか!?」など、実況の形にしてみると意外に問題点や対策が明確になるかもしれない。

「大切なのは、絶対に悪い形で終わらせないこと。記憶というのは、最後の部分が一番強く残るので、いくら不安になっても必ず成功するところまでイメージしてください。あまりに不安が強ければ、いったんその不安を紙に箇条書きして対策を1つずつ考えましょう。そのうえで、改めて成功までのイメージを行ってください」(同)

最近ではメンタルトレーニングを行うビジネスマンも増えてきたとのこと。緊張しやすい人は、試しに一人実況中継を行ってみるのもよいかもしれない。
(河合力)

※この記事は2012年02月に取材・掲載した記事です

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