吉川英治、柳田国男ほか、今後も大物が…

「著作権切れ」作品が日本を救う?

2015.01.30 FRI


古い映画の著作権には特別な規定があり、基本的に著作者全員が亡くなってから一定期間は権利が切れない。しかし、著名な監督ならまだしも、撮影監督などを含めて、すべての著作者の没年を確定するのは困難。著作権切れとして廉価版で売られているDVDのなかには、実際には著作権が切れていると言い切れないものもあるのだとか
過去の名作が無料で読める青空文庫。その青空文庫で、今年の1月1日から『宮本武蔵』などで有名な吉川英治の作品が読めるようになったと話題になっている。

これは、吉川英治が亡くなってから50年が経過して、著作権が切れたから。今年は同じように、『遠野物語』の柳田國男の作品も著作権が切れ、来年には、『銭形平次捕物控』『奇談クラブ』などで有名な野村胡堂の作品、2016年には谷崎潤一郎や江戸川乱歩の作品の著作権も切れる。

「でも、別にオレ、そんなに本好きじゃないし…」という人もいるだろうが、“著作権切れ”の効果はそれだけではない。著作権問題に詳しい、骨董通り法律事務所の福井健策弁護士はこう語る。

「著作権が切れると、基本的には誰でも自由にその作品を利用できるようになります。例えば、2005年に『星の王子さま』の日本における著作権が切れたときには、複数の出版社が新訳本を出版して、リバイバル・ブームになり、新たなファンも増えました。また、著作権料がかからないので、舞台化や映画化もされやすくなるともいえるでしょう」

他にも、作品の台詞を抜き出した名言集が出版されたり、作品をもとにした二次創作物やキャラクターが生まれたりするといった効果も考えられるとか。実は、この二次創作に使えるということが、とても重要なのだという。

「著作権で保護されている期間は、著作権者の意図から逸脱した作品は作りにくいといっていいでしょう。『銀河鉄道の夜』の主人公を猫にした傑作アニメは有名ですが、宮沢賢治の著作権がある間は、著作権者の許可が取れずに、実現出来なかったという逸話があります。著作権が切れれば、限度はありますが、二次創作の自由度はある程度高まります。例えば、吉川英治の『宮本武蔵』は、大河ドラマやマンガなどの原作になっていますが、これからは、さらに大胆な解釈として、新たな武蔵が生まれるかもしれません。著作権の切れた作品から新たな作品が生まれて、文化が継承されていくことも、著作権に期限がある重要な理由のひとつです」(福井弁護士)

そして、これらの新しく生まれた二次創作物には、新たに著作権が発生することも重要だ。例えば、柳田國男の『遠野物語』を原作に、日本情緒あふれる映画が制作されて、コンテンツとして外国へ輸出されたら、世界的な大ヒットになり、外貨を稼いでくれるなんてことも考えられる。

福井弁護士は言う。

「“クール・ジャパン”のコンテンツは、日本がこれから世界で闘うための数少ない武器のひとつ。著作権が切れた作品には、古き良き日本を描いているものも多く、二次創作物は、これから期待が持てるかもしれません」
(笹林司)

※この記事は2013年1月に取材・掲載した記事です

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