低賃金&キツくて不人気と思っていない?

意外?将来有望な転職先はこの業界

2015.03.22 SUN


神奈川県藤沢市の介護施設「おたがいさん」でのひとコマ。従来の「介護」というイメージとは異なる「世代間交流」の拠点となっている
「景気は緩やかな回復を続けている」とはいうものの、そんな実感はない!というのが多くの会社員の本音だろう。実際、新聞社などの世論調査でも「景気回復を実感していない」との回答が8割を超えている。今年の春闘では、久々の「ベア」実施に踏み切る企業もあるようだが、あくまで一握りの大企業の話。日本の99%を占める中小企業では、ベアどころか定期昇給すらおぼつかない。

となると、会社員としてはやはり「転職」に一縷の望みをかけたくなるところ。「仕事は金だけじゃない!」とはいえ、将来を考えれば、いつまでも給料が上がる見込みのない会社に勤め続けるのはつらい。今は給料が低くても、将来上がっていく“希望”が欲しいところだ。

そこで知りたいのが、5年後10年後も成長するような将来性を見込める仕事。市場縮小が確実視される日本において、長期的な成長が期待できる業界はあるのだろうか?

そのひとつが、「介護・医療」業界だ。国の成長戦略としても重点分野として注目されているほか、ベンチャーキャピタリストなども「間違いなく成長する分野」として熱い視線を注いでいる。

だが、介護業界というと、「いわゆる3K」「だから人が定着せず、常に人出不足」というイメージをお持ちの人も多いだろう。実際、「人出不足だから、その気になれば転職しやすいと思うけど、未経験からできるような仕事でもないし、あまり魅力は感じない」という会社員は多い。しかし、「それは誤解されている面も多い」と語るのはリクルートで介護業界を応援するプロジェクト「HELPMAN!JAPAN」を担当する永田隆太さん。

「一部に労働環境や待遇が十分でない事業者が存在することは否定しませんが、その情報で業界を語るのは間違い。極端な例ばかりクローズアップされがちなため、実際の仕事内容と世の中のイメージに大きなギャップができてしまっています」

たとえば「介護職」というと、世間では「忍耐力」や「精神力」を求められる仕事、というイメージが根強い。だが、実際の介護現場で求められる能力は、「企画力」「実行力」「チャレンジ力」の3つであることが、同社実施の現場で働く方へのアンケート調査でも明らかになっているという。

介護の仕事に企画力?と首をかしげる人もいるかもしれないが、「介護の仕事はお年寄りがやりたいけどできないことをサポートしていく仕事。一人ひとりの置かれている状況に寄り添って、柔軟な発想でお年寄りのニーズに向き合う必要がある」と、永田さん。

実際、近年は新たな発想やIT技術などを駆使して、介護の世界に飛び込んでくる若い世代も多いとか。

たとえば、おむつのなかの尿のにおいを検知するシート「Lifilm」を開発した宇井吉美さん。「Lifilm」で排泄リズムを定量的に把握することで、適切なおむつ交換やトイレ誘導を可能にするものだが、彼女がこれを開発したのが大学生の時。2011年10月の「学生ビジネスコンテスト in CHIBA」でグランプリを受賞し、これを機に介護ビジネスを起業した。

また、神奈川県藤沢市で介護施設「おたがいさん」などを運営する加藤忠相さんは、介護施設勤務を経て25歳で起業。従来の介護施設とは異なり、小規模かつ家族的な環境で、地域に溶け込んだ介護を目指している。子どもや地元の主婦が集いながら、お年寄りと交流する場にもなっており、お年寄りだけを集めて隔離していたような介護施設とは一線を画し、介護を起点に多世代交流の地域を作っている。

このほか「余命3か月の終末期ケア」に特化したオーダーメイドの訪問看護サービスを展開するホスピタリティ・ワンの高丸慶さんも起業組の一人。外資系医薬品メーカーを経て独立し、「終末期の痛み」を取り除く看護を提供するとともに、「死に備える」文化を提唱する。

ちなみに、介護市場の規模(※介護保険の総費用)は、介護保険制度がスタートした2000年度の3.6兆円から年々増加し、2013年度は9.4兆円と13年間で約2.6倍に拡大。今後も右肩上がりで成長が続くことが予想され、2025年度には約21兆円規模と、現在の2倍以上になるという。

現時点ではややネガティブなイメージが先行しがちな介護業界だが、成長市場であることは間違いない。他業界からの参入組も増えており、キャリアチェンジして飛び込むなら、市場が成熟する前のほうが良い。将来の給与UPという期待のみならず、未成熟な業界だからこそ、自身の手でサービスを創り上げていくやりがいもあるだろう。転職先の1つの選択肢として、検討の価値はありそうだ。
(目黒 淳)

※この記事は2014年3月に取材・掲載した記事です

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