人生のターニングポイントとなったアルバイト経験

家入一真「午前三時の新聞配達」

2015.03.30 MON


画像提供/Paylessimages1 / PIXTA(ピクスタ)
わりと知られているほうだと思いますが、僕は元引きこもりでした。高校を中退して、ずっと自宅に閉じこもってパソコンばっかりして、家族以外の誰とも会わない数年を過ごしました。そんな僕を外の空気に触れさせようと、母親が連れていってくれたのが「山田かまち展」。そこで絵画の魅力に気づいた僕は、美大を受験しようと思い立ち、大検を取りました。学費はせめて自分で出したくて、何かいい方法はないかと考えていたときに「新聞奨学生」という制度を見つけたんです。

「新聞奨学生」というのは、新聞配達をすることで、新聞社が学費を(一部または全額)支援してくれるというもの。僕はこれに飛びつきました。生まれてからずっと家族と一緒だった僕は、初めて家を出て新聞社の下宿に入り、新聞配達のバイトと予備校通いに明け暮れる日々を過ごしました。

朝は三時に起きて、新聞をひたすら折り、真っ暗な道を自転車で回ります。寒いし眠いしで、とにかくきつい。そのあと予備校へ行って、帰ったら夕刊の配達。終わった頃にはクタクタに……。でも一ヶ月もすると慣れてきて、どうしたら効率よく配れるかを考えるようになりました。

引きこもりで、人との付き合いが苦手だった僕も、営業所の人たちと毎日顔を合わせることで、少しずつ会話ができるようになっていきました。新聞を折るとかチラシを挟むとか、やるべき仕事が決まっていて、変な馴れ合いがなかったのもよかったのかもしれません。

僕にとっては、長らく引きこもっていた毎日から抜け出すきっかけにもなったし、あのときの新聞配達がひとつのターニングポイントだったなと思っています。「自宅から離れる」という思い切った選択もプラスに働きました。変わろうと思っていてもなかなか変われないけど、環境が変わることで見える景色が変わってきたりするものなんです。

アルバイトを探すときにも「お金のため」だけじゃなくて、何か自分を変えるきっかけづくりだと思ってみると、別の可能性が見えてくるかもしれないですね。

また、僕は経営者として人を雇用する側でもあるので、そういった観点から見てみると、社員だからとかアルバイトだからっていうことでスタッフを区別することはほとんどありません。いいアイデアが出たら即採用したいし、アルバイトだからダメとか、これだけやってればいい、という気持ちは一切ない。それは僕だけじゃなくて、多くの経営者がそうなんじゃないかなと思います。実際に僕の関連会社のスタッフはみんなそういう感じだし、誰が社員で誰がバイトか、もはやわからないくらい(笑)。

一緒に働くのであれば、会社のために、お店のために、何よりお客さんのために、もっとよくしよう、もっと楽しくしようと思ってガンガン提案してくれる人がいいですよね。そんな働き方ができれば、それはアルバイトの今だけじゃなく、今後の人生でもきっと生きてくるはずです。
(文 家入一真)

※この記事は2014年3月に取材・掲載した記事です

  • いえいり・かずま

    1978年、福岡生まれ。活動家。中学校時代のいじめがきっかけで対人関係が苦手になる。2001年自宅で「ロリポップ!レンタルサーバ」をリリース。2003年paperboy&co.を創業。2008年にはJASDAQへ当時最年少で上場。退任後は「CAMPFIRE」「BASE」を立ち上げ、2014年東京都知事選挙へ出馬し8万8936票を得る。
    twitter@hbkr

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