ITクリエイター向けコミュニティ・スペース「TECH LAB PAAK」

異才が集う異色のITラボに熱視線

2015.03.06 FRI


はたしてこの空間からどんな才能・サービスが誕生するか? 今後の展開に期待が高まる。 東京都渋谷区神南1-20-9-6F(受付)/7F 営業時間:(平日・土日ともに) 13:00~21:00
東京・渋谷、公園通りにあるApple Storeの上階に、異色の「ITクリエイター向けコミュニティ・スペース」が昨年12月に誕生し、注目を集めている。「TECH LAB PAAK」(テック・ラボ・パーク)と名付けられたその空間は2フロアに分かれ、利用者同士が交流できる交流スペース、作業に没頭できる個人作業スペース、仕切られた会議スペースなどを完備している。

一見、最近流行りのコワーキングスペースのようだが、そうではない。なんと入会費や利用料はもちろん、ドリンク・スナック、アルコール類まですべて無料。審査をパスして会員になれば、いつでも好きに利用できるというから驚きだ。無料Wi-Fiや大型ディスプレイ、高度な専門技術所や最新鋭のデバイスまで揃っており、新たなプロダクトやサービスを開発するにはもってこいの環境となっている。

運営はリクルートホールディングスの新規事業開発機関であるリクルートテクノロジーインスティテュート。同社はこの空間を通じ、「テクノロジーをベースとした新しい価値の創造を支援する」としているが、なぜこうした試みを始めたのか? その理由を探るべく、去る2月20日に現地で開催されたオープニング記念パーティーを取材してみた。

会場に到着したのは開始10分前。すでに審査をパスした第1期会員と関係者100人以上が集まる盛況ぶりだ。まずはパーティーに先駆け「TECH LAB PAAK」所長の麻生要一氏より、理念やコンセプトが語られた。

「最初にきちんと説明しておきたいのは、この場所を自社のビジネスにつなげようという狙いはリクルートにはないということ。かといってCSRでもない。ただ純粋に、世の中をもっとよくするイノベーションを生み出すためのオープンな場として作ったスペースです。ですから会員のみなさんはここでビジネスをしようが、プロダクト開発をしようが、研究活動をしようが、いっさい自由。企業、個人、NPOやNGOなども問わず、審査に通れば誰でも利用できます」

しかし、民間企業がそんなことをして何のメリットがあるのか? 麻生氏に尋ねてみた。

「そもそもメリット・デメリットという価値観はここにはありません。きれいごとのように聞こえるかもしれませんが、一番の目的は単純に“豊かな世界を作る”――その理念を実現することです。この場所から社会に変革を起こすような事業だったり、サービスだったり、プロダクトだったりが生まれることによって世の中が良くなれば、それは最終的に自社のためにもなると考えています」

もともとリクルートは10年前からエンジニア向けの開発コンテスト「Mashup Awards」を開催したり、様々な領域のWEBサービスでAPIを公開したりと、オープンイノベーションの土台作りに取り組んできた。その流れの延長線上にあるのが、このスペースなのだという。

そんな理念に共感して集った第1期会員は40組100名。具体的な数値は公表していないが、「かなりの倍率でした」と麻生氏。審査の基準は明快で「その人を応援したいか」という点を最も重視したという。

会員の年齢は20代が大半で、男女比は8:2。スタートアップや大学生、フリーランス、会社員まで幅広いメンバー構成となっている。パーティーでは10人程度の会員が登壇し、現在取り組んでいる事業や「TECH LAB PAAK」で実現したいアイデアに関するプレゼンも行われた。会員のキャラクターもアプローチも多種多様だが、全員に共通しているのは革新的なアイデアを持ち、それを叶える具体的なプランを描いていること。確かに「応援したくなる」魅力的な個性が集まったようだ。

「会員同士がアイデアをぶつけ合うことで、新たなプロジェクトが生まれることも期待できますし、足りない知識やスキルがあれば互いに補うこともできます。また、第一線で活躍するエンジニアや起業家などを招いてメンタリングを受ける機会を設けるほか、最新のテクノロジーやIT業界のトレンドを学ぶ講演会やイベントも実施していきます。利用者ひとりひとりの未来を変える出会いを創出する場としても役立っていければと思っています」

「ITで世の中を良くしたい!」そんな想いはあるけれど、仲間と出会う機会や知識を身に付ける機会がない……。そんなITクリエイターたちの“不”を解決するのが「TECH LAB PAAK」というわけだ。
ちなみに、会員期間は半年間。第2期、第3期の会員募集も随時行っていくという。審査のハードルはけっして易しくないが、トライしてみる価値は十分だ。
(榎並紀行/やじろべえ)

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