先進諸国ではフランスが断トツの最下位

日本はマシ!?世界の失業率は?

2015.06.05 FRI


国の借金が1000兆円を突破し、日経平均株価も右肩下がり。日本経済は多くのネガティブな問題を抱えているが、こと“失業率”の低さに関しては先進各国のなかでも安定した水準を維持している。2011年10月時点の主要国失業率をワースト順に並べると、「フランス(9.1%)」「アメリカ(8.6%)」「イタリア(8.3%)」「イギリス(8.3%)」「ロシア(6.1%)」「ドイツ(5.8%)」「日本(4.5%)」。欧州で最も健全な経済大国であるドイツでさえ、失業率は日本より1ポイント以上も高いのだ。また、先進国共通の悩みである“若年層の失業率”も日本は25~34歳が7.8%なのに対し、先に挙げた国々は軒並み10~20%台。なぜ、欧米諸国は失業率、とりわけ若者の失業率はこれほどまでに高いのか?

「日本で失業率の上昇が社会問題化するずっと前から、欧米先進国はこの問題を抱えてきました。特に南ヨーロッパの国々、イタリア・スペイン・フランスなどです。それぞれ国によって事情は異なりますが、ヨーロッパ諸国は法律で定められる最低賃金が高水準であることや、社会保障費などの非賃金コストの高さが、新たに人を雇うことの障壁になっているといわれています」(『日本の二―ト・世界のフリーター』などの著書をもつ追手門学院大学経済学部・白川一郎教授)

景気が停滞し企業の雇用情勢が悪くなると全年齢層の失業率が上昇するが、特にその煽りを受けやすいのが若年層だという。

「高い賃金で雇わなければならないと法律で決められていると、企業は経験のない若者を高い給与で雇うよりも、経験のある中高年を同じ給与で雇う方が合理的と考えるわけです。若年雇用は労働市場への新規参入者として弱い立場にあるため、不況の影響を最も深刻に受けることになります。」

こうしたヨーロッパの状況に比べれば日本はだいぶマシに思える。だが、2010年に内閣府が行った「引きこもり全国実態調査」によれば、若年無業者、いわゆる「ニート」の数は約100万人と推計されるというから、決して楽観視はできない。彼らが仕事探しを始めれば、100万人規模の「無業者」が「失業者」へと変わり、途端に失業率をはねあげることになる。

「日本の若年失業率が上昇している背景には、非正規雇用の増加という雇用市場の構造的な変化が考えられます。コストを低く抑えられるパートや派遣労働者で労働力がまかなわれ、若年層の正社員としての働き口は失われています。日本でも雇用の流動性を高めたり、労働市場の需給のミスマッチの解消といった構造的問題に取り組まない限り、景気が回復しても若年雇用の問題は依然として大きいままでしょうね」

なんとも複雑なこの問題。どうやら景気が良くなれば失業者は減る、なんて単純な話ではなさそうである。景気対策だけでなく雇用をめぐる構造的問題にも真剣に取り組む必要がありそうだ。
(榎並紀行)

※この記事は2011年12月に取材・掲載した記事です

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