超逆境の漬物業界のなかで、なぜアグレッシブなのか?

新生姜・岩下社長「広く浅くでは大した仕事できない」

2016.04.11 MON

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岩下和了(いわした・かずのり) 1966年栃木県生まれ。岩下食品株式会社代表取締役社長。岩下の新生姜ミュージアム館長。慶応義塾大学卒業後、住友銀行(現・三井住友銀行)を経て、1993年に岩下食品へ入社。2004年代表取締役に就任(現任)。趣味は音楽鑑賞 (撮影=松倉広治)
「10年後も今の仕事で食べていけるのか? 10年後に今の仕事があるのか?」今や多くの会社員が抱える不安ではないだろうか。「岩下の新生姜」で知られる岩下食品も、逆風に立ち向かっている。岩下和了社長が打ち出す様々な施策と、その背景にある考え方は、将来の方向性に悩むイチ会社員にも、ヒントを与えてくれるかもしれない。

「10年後も食べていく」には、専門性を身につけるしかない


「漬物業界の市場規模は2000年ごろの約5500億円をピークに縮小し続け、直近では約3200億円にまで落ち込んでいます。ここ15年で約4割減と、減り方のスピードも凄まじい。漬物が自然と食卓に並ぶ昔とは違いますし、『塩分が濃い』イメージから健康志向の現代人には敬遠されやすいですしね。ハッキリ言って相当厳しい。

過去と同じことをやるだけでは、将来のジリ貧が待っているのは明らかなので、新しい顧客を創造していかなくてはなりません。そのためにはチャレンジの連続です。味は変えずに塩分を低くしたり、単身者向けに容器の形を変えたり。それまでスーパーの漬物コーナーに依存していた販路も変えています。商品の味には大きな自信を持っているからこそ、時代の変化に対応しなければいけない」(岩下氏、以下同)

厳しい現状を突破すべく試行錯誤を続ける岩下氏に、現代の会社員が抱える「10年後に今の仕事で食べていけるのか」という不安について聞いてみた。

【岩下社長のジンクス】 『ピンク色を身に着ける』 「今日のシャツもそうですが、新生姜カラーのピンク色をなるべく身に着けるようにしています。ピンク色をまとうと会社の看板を背負っている意識が出て身が引き締まるんです。自分が何者かっていうのも分かりやすく表現できますしね」
【岩下社長のジンクス】 『ピンク色を身に着ける』 「今日のシャツもそうですが、新生姜カラーのピンク色をなるべく身に着けるようにしています。ピンク色をまとうと会社の看板を背負っている意識が出て身が引き締まるんです。自分が何者かっていうのも分かりやすく表現できますしね」
「変化の激しい時代。10年後のことなんて誰にもわかりません。だからといって、何があってもつぶしが利くようにあれこれ手を出したところで、それぞれが浅い経験で終わっていたら力を発揮しようもない。まずは目の前の仕事に夢中になる、ということが肝心ですね。

ある仕事を『熱』を持って深く掘り下げたら、そのまわりにある事柄の知識も必要になります。たとえば、『製品の塩分を下げる』という課題に徹底して取り組むと、製造工程や販売網の温度管理プロセスや、物流改善、営業交渉、成果をどう知らしめるかのプロモーションなど、管轄外のことまで深く掘らなければ成功はない。そのためにコミュニケーション力を高めなければならなくなりますし、リーダーシップも学ぶでしょう。専門性は総合性の母なのです。それは、仕事が変わったとしても活かせる力になると思います」


昨年オープンした“新生姜のテーマパーク”「岩下の新生姜ミュージアム」も、社にとって大きなチャレンジのひとつだったという。遊び心が話題になり、ネット上で話題が拡散した。こちらはピンク色(新生姜色)の「アルパカ」の大群…

仕事だけでなく、プライベートでも「夢中」になれ!


また、岩下氏はこうも付け加える。

「仕事でもプライベートでもいいですから、夢中になれることを見つけてほしい。何かを心底好きになれることは、それ自体が能力です。僕自身、今も年間100本以上、ジャズやロックなどのライブに通う熱狂的な音楽ファンですが、それを通じて得た、生きる力のようなものは膨大です。仕事で大きな悩みを抱えていた時期にも、音楽に何度も救われました。自分の生存理由すら問い直したくなるような苦しみから救い出してくれるのは、本当に自分が愛しているものでしょう」

仕事で自信を失っても、プライベートに軸があれば救いが持てる。それもまた、10年後、さらにその先の将来にまで必要な、人生のリスクヘッジといえそうだ。

(榎並紀行/やじろべえ)

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