「後輩より自分が出たほうが…」そんなときどうする?

代打オレの真意…古田敦也が「マネジメント」を語る!

2016.06.21 TUE

会社では学べない!ビジネスマン処世術 > “仕事本”に学ぶ



(撮影=市村 岬)
30代にさしかかり、管理職的なポジションになるが、これまでの仕事もなくなるわけではない…。そんなプレイングマネージャーにありがちな悩みを、元東京ヤクルトスワローズ(以下、ヤクルト)の古田敦也氏にぶつけてみた。著書『うまくいかないときの心理術』(PHP新書)にも書かれている、チームを成功に導くために必要な、リーダーシップのとり方とは?

●若手とのコミュニケーションは“相手のフィールドに下りていく”


部下や後輩が意見を言いやすい環境を作るには、どうすればよいのか? 古田氏は「相手の考えを知るのが重要」と語る。

「ミーティングルームや監督室に呼び出したところで、選手は何も言えないんです。こっちが何を言っても『はい』としか言わない。そんなときは、仕事じゃなくて食事や飲み会、または相手の趣味のフィールドに入ってみるといいですね。

ヤクルトには『娯楽室』にゲーム専用のテレビがあるんです。当時は、試合前に選手がサッカーゲームをやってることが多くて。一緒にやってみると、マウンドでは『はい』しか言えない選手が、『おらおら、逃げんのか』とか言ってくるんですよ。一瞬、『オレに言ってんのか?』って思ったりしますけど(笑)、顔じゃなく画面を見てるから言えるんですかね。ゲームをしながら野球の話をして、相手の考えを聞いたりしたんです。この効果は大きかったですね」

近年、若手が“ゆとり社員”などと揶揄されることも多いが、古田氏は「若い人は、ちゃんと話してみると実はモチベーションが高い」という。

「昔はサボることばっかり考えてましたよね。でも、最近の若い子は、いったん納得すると本当に一生懸命努力するんですよ。ただ、いまはみんなインターネットなどで勉強するので『この練習に意味はあるんですか』『ダルビッシュはこう言ってました』と、自分の意見を言ってくる。そんな相手に対して『とにかく走っとけ』と言ってもなかなか理解されません。

どのような考えを持っていて、どんな人に憧れているか。それを押さえておくと、相手に刺さるアドバイスができるので、コミュニケーションはスムーズになります。野球少年でも『イチローが言ってたよ』というと、途端に素直に言うことを聞いてくれることが多いです」

「古田が言ってる」でも十分影響力が大きい気もするが…。

●若手とベテランのモチベーションに配慮した結果だった!? “代打オレ”


「自分でやった方が早い」と考えてしまうマネージャーは多いが、古田氏は「チームの成長に必要なのは若手に機会を与えること」と断言する。

「人材育成には経験が必要なんです。もちろん『おれが出たほうが…』と思うこともあったけど、そうすると若手が成長する機会を奪ってしまう。そこをいかに我慢できるか。ぼくは、自分の能力に対して若手が“50%”なら使ってました。50%を70%まで上げるには、実戦で使うしかないんです。

昔、ヤクルトがもっと弱かったころは、いいピッチャーがいなかったので、仕方なくいろんな選手を使ってましたね。でも、使ってるうちにどんどん良くなっていくんですよ。すごいバッターに打たれて、そのたびにアタマを使って。失敗が糧になっていくんですね。打たれるけど、我慢して使うしかない。これに尽きます」

では、有名な“代打オレ”は若手の機会を奪ってしまったのでは?

「ベンチで待機してる選手って、常にチャンスを待ってる気がするでしょう? 実はそうでもないんです。失敗すると2軍に落とされる。『打ちやすいピッチャーのときだけ出してくれ』って思ってる選手は多いですよ、きっと。ほかにもベテランの“代打の切り札”なんかは、プライドも保ってあげないといけないから、大事な場面以外は起用しづらかったりする。

それで、ダルビッシュやマー君(田中将大)が来たらね、誰が出ても簡単には打てないわけですよ。そんなときは、オレが行くか…っていうこともありましたよ、正直。上に立つポジションになるとわかるけど、配慮が何より必要で、いろいろ大変ですよ」

なるほど、“代打オレ”は、部下がやりたくない仕事の肩代わりでもあったのか。様々な配慮をしつつ、出るべきところは自分が出る。それがプレイングマネージャーの仕事なのだ。

(森 祐介) 古田敦也

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