“出る杭は伸ばす”!? タイプ別・後輩へのアドバイス

名物ラノベ編集者・三木氏が語る「会議活性化の方法」

2016.07.07 THU

会社では学べない!ビジネスマン処世術 > “仕事本”に学ぶ



(撮影=森 祐介)
編集者として数々の名作ライトノベルを生み出してきた三木一馬氏に、著作『面白ければなんでもあり 発行累計6000万部――とある編集の仕事目録』でも明かしている仕事術についてインタビュー。自身の過去を振り返りながら、会議を盛り上げる方法や後輩とのコミュニケーションについて語ってもらった。

●“天然”な若手は大歓迎? 傍観者をつくらない会議術とは


会議はビジネスマンにつきものといえるが、退屈な議題が続いたり、無意味と感じたりする場合もある。どうすれば会議を盛り上げることができるのだろうか。三木氏に尋ねたところ、「傍観者をつくらないために、質問や提案で巻き込むのがコツです」と答えてくれた。

「5~6人以上の打ち合わせになると、高い確率で『自分はいてもいなくてもどっちでもいいんじゃないか』と思っちゃう人が出てくるんですよ。そういう人がいると空気も悪くなってしまうし、お互い時間のムダですよね。たとえば、ライトノベルの打ち合わせをするときも、作家と3人の編集で会議をすることがあるんです。打ち合わせとしてはやや大人数ですから、なるべく僕は他の編集者に、『あなたはどう思いました?』とか『どちらの案がいいか、多数決で決めましょう』と言って巻き込むようにしています。チームで動いてる感じを演出することが大事ですね」

さらに、別の部門やジャンルの人、まだ経験が足りない若手をあえて会議に入れてみることで、活性化することもあるのだという。

「お互いが勉強になるんです。ラブコメが得意な人をSF作品の会議に呼んでみると、思ってもみなかった提案が出て驚いたり。また、作家も編集もベテランになればなるほど斬新なアイデアは出にくくなります。そんなときは、天然でもいいので『空気を読まない』指摘や意見をぶちこんでくる若手の存在がうれしい。会議の目的は、『うまく所定の時間を消化する』ことではなく、『いかに面白い案を絞り出すか』です。編集以外の仕事でも、営業と企画など、別の分野の人間と積極的に意見交換をすると、意外なひらめきが生まれることもあります」

●出る杭は叩かずに伸ばせ! 相手によってアドバイスを変える


「若手のころは、驚くほど自由に仕事をさせてもらってました」と過去を振り返る三木氏。過去の自分のような、空気を読まずに突き上げてくる後輩がいると、厳密な管理はせずに、あえて“好きにやらせてみる”のだとか。

「まだアシスタントに近い立場のときから会議でリーダーとなっていたり、いま振り返ると無鉄砲でした。そんな無礼を許してくれた先輩には感謝しかありません。そんなふうにして僕がグイグイ突き上げていったからこそ生まれた作品もあります。なので、昔の自分のようにつっかかってくるようなアグレッシブな若手がいたら、致命的なミスをしないための助言だけは授けて、あとは好きにやらせていました。誰でも絶対に失敗するので、そこから学ばせるんです。

2016年4月からテレビアニメが放送され話題になった、『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』(聴猫芝居著、電撃文庫)というシリーズがあります。このアニメの原作はアグレッシブな後輩が手掛けた作品です。先輩である僕の作品づくりを参考にして、作家さんと一緒作り上げた作品じゃないか、と勝手ながら思っています。これでそうじゃなかったら恥ずかしすぎるけど(笑)」

モチベーションが高い部下には、好きにやらせてよいのはわかる。しかし、必ずしもモチベーションがある社員ばかりではないのが実情だが…。

「仕事をするからには、みんなそれなりに目標は持ってるんだと思います。ただ、そのイメージが『会社や部署という大型客船に乗ってたらゴールに着くだろう』みたいな、他人任せなものであることが多いのが問題だと思います。そうじゃなくて、『むしろあなたがゴムボートを降ろして、自分で引っ張っていくんだよ』というイメージを伝えてあげるんです。

会社のシステムや予算をうまく使えば、個人ではできないような大きい仕事ができます。たとえて言えば『会社からジェットエンジンを借りてきて、ゴムボートに装着できる』みたいな。これまで社内で蓄積してきたノウハウを、彼らの目標に合わせてアドバイスをすると、少しは自分の目標への筋道が見えてくるかもしれません」

「マネージャー職に向いていない」と自称する三木氏だが、そうは感じられないほど、マネジメントに関するアドバイスが数多く飛び出てきた。逆に考えると、今はまだマネージャーに向いていないと感じる人でも、心がけ次第で将来は良きリーダーとなれる可能性もあるのではないだろうか。

(森 祐介) 三木
三木一馬(みき・かずま) 上智大学卒業後、メディアワークス(現在のKADOKAWA アスキー・メディアワークス事業局の前身)に入社、「電撃文庫」編集部に配属。『とある魔術の禁書目録』『灼眼のシャナ』など数々のヒット作を生み出し、担当作の累計部数は6000万部を超える。編集長を務めた後に独立し、現在はストレートエッジ代表として、ライトノベル編集やメディアミックスのプロデュースを手掛ける

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