完全V字回復を果たした松下電器

ヒット商品が続々出てくる組織は、どうつくられたのか

2004.07.08 THU

松下電器産業が元気だ。業績もさることながら、販売現場で商品が売れているのである。DVDレコーダー、テレビ、ドラム型洗濯機…。性能もデザインも評価が高く、数年前から比較すると軒並みシェアを上げている。松下電器といえば、2001年度決算で巨額の赤字を計上、大規模なリストラに取り組み、「日本の終身雇用制の象徴までもが」と社会に大きな衝撃を与えたのは記憶に新しい。そんな状況からのV字回復だけに、様々な社内改革が行われてきた。とりわけ、日本の製造業がこぞって真似た有名な「事業部制」を解体、営業と技術の間で「社内での買い取り」というユニークな仕組みを導入した点には要注目だ。

通常のメーカーでは、技術が作ったものを営業が売る。ところが、この仕組みは違う。技術が作ったものを、まず営業が「買い取る」のである。もし販売現場で売れ残ったら、営業がすべて責任を負わねばならない。つまり、営業は販売現場のニーズをしっかり把握し、確信を持てなければ、おいそれと商品を「買えない」ということだ。

一方の技術は、販売現場で売れるものを開発しなければ、シビアにマーケットを見つめる営業には買ってもらえない。製造業が陥りがちな「とにかくいい商品さえ作れば売れるはずだ」というマーケット不在の技術開発の論理は一切通用しないのだ。より販売現場で売れるものを発想しようと必死で知恵を絞るようになる。もちろん営業も、売れそうにないから買わない、というだけでは数字が出せない。そこで販売現場のニーズを探り、的確にスピーディーに技術へ新しい商品をオーダーするのだ。

営業と技術の間には、これまでになかった緊張関係が生まれただろう。だが、仕事は圧倒的に面白くなったに違いない。なにしろ全員が商品開発に関わるのだ。松下電器は、単に組織を変えたのではなかった。まさに社員の仕事マインドを変えてしまったのである。実はこれこそが、ヒット連発の最大の要因に思えるのだ。 

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