景気回復の陰に製造業の復活あり

日本のモノづくりを蘇らせた「摺り合わせ型」技術とは?

2004.12.02 THU

長い低迷から抜け出した日本経済。好調な輸出、リストラの進展、設備投資の回復など、要因はさまざまあるが、忘れてはならないのが製造業の復活だ。しかし、ほんの数年前まで、日本のモノづくりは衰退がささやかれていた。台湾や韓国、中国など新興国の登場で優位性が揺らぎ、市場が奪われていた。なぜ今、復活なのか。この点について、著書『10年後の日本を読む「先見力」のつけ方』で興味深い指摘をしているのが、エコノミストで日本総研理事の高橋進氏だ。

「キーワードは“摺り合わせ型”技術の優位性です。東京大学の藤本隆宏教授によれば、モノづくりの技術体系には“摺り合わせ型”技術と“組み合わせ型”技術があるといわれています。後者の代表例がパソコン。CPUやハードディスクなど、主要な部品が一種のモジュールになっていて、それを組み立てて製品を作っていけばいい。一種のプラモデルのようなものです」

組み立てるだけなので高度な技術は必要ない。結果的に安価な労働力を持つ国が優位に立つ。ITブームのとき、日本がパソコン生産で後塵を拝した理由はこれだ。

「対して“摺り合わせ型”技術の典型は自動車です。自動車もいろいろなユニットから作られますが、性能のいい自動車づくりのポイントは、凄まじい数の部品をどれだけ高度に組み合わせていくかという生産技術にある。簡単に組み立てておしまい、ではない。しかもこの部分は企業内でブラックボックスになっているんです」

薄型テレビなどのデジタル家電も実は、日本独自の“摺り合わせ型”技術がちりばめられているのだという。他国が簡単にマネできない高度な生産技術があるからこそ、高い付加価値を持つ製品を生み出すことができ、高収益にもつながっているのだ。

「日本が世界で勝負するとき、必要になるのは付加価値。“摺り合わせ型”技術をいかに守り、育てていくかが重要です」

日本の製造業は今、ひとつ上のステージに歩を進めつつあるのだ。

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