新しい“親離れ”の形

大企業の埋もれた技術を育てる「カーブアウト」ってなんだ?

2005.10.13 THU

最近注目の「カーブアウト」。野球の球種のようなイメージの言葉だが、スポーツ用語ではない。高い技術を持つエンジニアなどが独立する際の、起業の手法だ。

「カーブアウト」(Carve Out)とは、「切り出す」の意味の英語。大企業で埋もれた技術や人材を、親元となる会社が「戦略的に」社外の独立した組織に出して事業化を図る手法だ。親会社との関係が薄れる「スピンアウト」や「スピンオフ」とも異なる。

親会社の新規事業的な位置づけだが、「社内ベンチャー」に比べて自由度が高いのも利点だ。社内ベンチャーの場合、「親の都合」が優先されるあまり、新規分野の商品化が遅れる事例も多い。ときに、コア事業やかつての成功体験が、次なる挑戦の足をひっぱることもある。その点、「カーブアウト」ならば、外に切り出すことで、ベンチャー企業が親元の制約を受けにくくなる。

ここのところ、カーブアウトの支援ファンドが相次いで創設されている。「テクノロジー・アライアンス・インベストメント」(三菱商事と日本政策投資銀行が設立、東京都港区)は日本初のカーブアウト専用ファンドの運営を4月から開始した。同社の吉澤正充社長は、カーブアウトに注目した理由をこう語る。

「日本の大手企業は、効率を重視して『選択と集中』を推し進めた結果、いい技術がたくさん埋もれてしまった。技術者が飛び出すにしても、大きな設備投資が必要なエレクトロニクス分野などは、外部ファンドから資金援助を受けられるうえに、親元の支援もあるカーブアウトが有利。親元側も、手元から離すことでリスクを軽減でき、技術の種が育って会社が成長すれば、その会社を買い戻すことだって可能なのです」

物質、人材面では親元から一定の援助を受けるけれど、精神的には自立して自由を得る。「カーブアウト」は理想的な“親離れ”の形なのかもしれない。

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