次期経団連会長を輩出

日本型を残すキヤノンの独特な経営方針とは

2005.12.22 THU

日本経団連の次期会長にキヤノンの御手洗冨士夫社長が内定した。鉄鋼や自動車など重厚長大産業以外からの会長就任は史上初だという。それだけの優れた企業、優れた経営者だと、まわりから評価されたということだ。

カメラ、複写機、コンピュータ周辺機器、情報・通信・光学機器を手がけるキヤノン。たしかに超優良企業として知られる。売上高は3兆4679億円。注目は、アメリカ、ヨーロッパ、アジアできれいに3分割されること。バランスがいいのだ。しかもこの10年で売り上げはほぼ倍増。純利益も5年でほぼ倍増。アメリカ特許登録件数では10年以上にわたってトップ3に入る。

この超優良企業を1995年から率いてきたのが御手洗社長だ。その経営の最大の特徴は、日本的経営の伝統である終身雇用を守ることを明確にする一方、年功序列を排して実力主義に徹するなど、米国流のいいところを取り入れていく独自のスタイル。『キヤノン式 高収益を生み出す和魂洋才経営』なんて本が出ているほどなのだ。

御手洗社長は、66年から89年まで23年間をアメリカで過ごし、日本のキヤノン本体を冷静に見つめていた。帰国後、社長に就任すると米国流のトップダウンで改革を一気に実行する。利益重視の強化と全体のバランスの重要性を掲げ、すぐに不採算事業からの撤退に取り組み、工場の改革にも取り組んだのだ。だが一方で、人材の流動化を唱える経営者が増えるなかでも、日本流の終身雇用を強く主張した。終身雇用による運命共同体意識が社員の団結力になり、企業の競争力につながっていくという信念があったからである。

考えてみれば、結局、会社の業績とは社員の力の集合体なのだ。それをいかに最大化できるか、が経営の力量。何かをやめればそれで済む話などでは決してない。日本人はついつい安易にムードに流されがちだが、やはりそれは危険。キヤノンはそれを教えてくれている。日本経団連での活躍にも大いに期待したい。

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