「決算」を読み解くキーワード

“原価”と“時価”の違いを理解しておこう

2006.03.16 THU

フジテレビがライブドア事件で300億円を超える「含み損」を出すという。ニッポン放送株をめぐる攻防の後、ライブドアが行う約440億円の第三者割当増資を引き受け、12.75%を出資していた。しかし、ライブドア株は事件で暴落してしまった。だが、考えてみれば、まだ株式を売って損が出たわけではない。どうして、こんな報道が?

実はかつての日本なら、発表は不要だった。2001年に会計のルールが変わり、「原価(取得原価)」=「買ったときの値段」と「時価」=「現時点で予想される市場価格」の差額を公表しなければならなくなったのだ。これが「時価会計」である。

もともと日本の会計は「原価主義会計」だった。決算書類にあるのは、取得原価。購入時点の価格は客観的で間違いない数字。その信頼性が評価された。そして原価と時価による損益は、売却時に計上すればよかった。だが、もし企業が大量の株を持っていて、その株が暴落していたら…。実際には巨額の損失を被る可能性を持つ危機的状況でも、その企業の財務状態は帳簿上は見えなかった、ということになる。

逆に、原価より時価が高い場合も問題が起こり得る。高くなった株を売ってしまえば、利益の一部にできる。たとえば、本業の業績が悪いときでも、そうした「益出し」によって、あたかも利益がたくさん出ているように見せることができるわけだ。

これでは、投資家が正確に企業の中身を理解できるとはいえない。そこで国際化の流れも相まって、時価会計の流れができた。ただし、すべての会計が時価会計になったのかといえば、そうではないからややこしい。市場価格があり、かつ短期間で売買されることが決まっている一部の金融商品だけが対象。いわゆる土地などは含まれない。

ちなみに、原価と時価の差が含み損、含み益。時価が原価より50%以上下落した含み損は、その期の決算で損失処理する必要がある。フジテレビの本業は好調だが、今期は赤字の可能性が出ている。

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