国際収支に異変あり?

「貿易収支」と「所得収支」の動きに見る日本の未来

2007.03.22 THU

2006年の「国際収支統計」が財務省から発表された。日本経済はこれまで、日本でモノを作って世界で売る貿易黒字で経済発展を遂げてきた。「貿易大国」「モノづくり大国」などと言われるのは、そのためである。国際収支統計は、そんな日本の強さを示す統計のひとつだったわけだが、近年ちょっとした異変が起き始めていた。

日本が稼いでいた黒字は、貿易黒字のほかにもうひとつあった。「所得収支」である。これは、日本が持つ海外の株や債券、つまり証券資産などが生む配当や利息を示す。わかりやすくいえば投資の収益だが、この額がどんどん増えていき、貿易黒字に匹敵するほどの規模になっていったのだ。その後、貿易による黒字幅が縮小する一方で、投資による黒字幅は拡大していった。2006年にはなんと、貿易収支9兆4596億円に対して、所得収支は13兆7449億円と、1.5倍もの開きになったのである。要するに今は、貿易よりも投資で、日本は稼いでいるということになるのだ。

実は同じような歴史をたどった国が、世界にはある。アメリカ、イギリスである。両国ともに、巨額の貿易黒字を誇る貿易大国だった。だが、周辺国の勃興により、やがて貿易黒字は縮小。その代わり、他国への投資が生み出す黒字が拡大していった。そして今や巨額の貿易赤字を持つ一方で、その赤字を海外への積極的な投資で埋めていく、という経済構造になっているのだ。ということは、もし日本もこのままいくと、やがては巨額の貿易赤字を抱える国になるということになるのか…。

もちろん他国がそうなったから、日本もそうなるとは限らない。しかし、もしその方向に進んでいるとするなら、日本の未来はどうなるか。産業構造は大転換せざるを得ないだろう。また、過去20年で約245兆円も対外投資をしたのに、今や時価換算で約190兆円に目減りした「投資下手」もなんとかしないといけない。さて、2007年は、どんな動きになるか。

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