金融市場の近代化に向け

監査法人制度が40年ぶりに見直しに

2007.04.19 THU



イラスト:沼田光太郎
2001年に起きたアメリカのエンロンの粉飾決算事件の後、監査を担当していた50年もの歴史を持つ名門監査法人、アーサー・アンダーセンは驚くべきことに全世界で消滅してしまった。アメリカの責任の取らせ方はすごいと思っていたが、日本でも同じようなことが起ころうとしている。

国内4大監査法人(トーマツ、あずさ、新日本、みすず)の一角、みすず監査法人が、7月に事実上解体されることになったのだ。カネボウ、日興コーディアル証券など、監査先企業の相次ぐ会計不祥事で顧客離れが進み、業務継続を断念したという。公認会計士ら約2400人を抱える大手監査法人が、である。

粉飾決算などの会計不祥事が相次ぐなか、国もようやく動き始めた。監査法人への信頼回復を目指した公認会計士法改正案は、約40年ぶりの抜本的な改正ともいえるものになっている。例えば、粉飾を重大な過失で見逃した場合には、監査法人に対して期間中の監査報酬の全額、粉飾決算に意図的に加担した場合には監査報酬の1・5倍が科される課徴金制度が新設される。

また、監査先企業とのなれ合いを断ち切るため、規模の大きい監査法人の監査責任者については、同じ企業を続けて監査できる期間を現在の7年から5年に短縮。さらに、監査業務の緊張感を高めるため、会計士の監査先企業はもちろん、グループ企業への再就職も原則禁止するなど、厳しい内容が盛り込まれている。

ただ、会計書類を作るのは、あくまで企業。それが正しく作成されているかを監査するのが、監査法人の役割。制度の見直しも重要だが、同時に監査を受ける側の企業の意識も強く変えなければなるまい。加えて監査法人は、独立して厳しく企業を監査しなければならない立場でありながら、監査対象である企業から選任され報酬を受ける立場でもある、というねじれ問題も存在する。見直しは、ようやく第一歩が始まったばかり、なのかもしれない。


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