「労働分配率」低下でわかった

企業の儲けはやっぱり僕らに反映されてない?

2007.05.10 THU



イラスト:牧野良幸
戦後最長の景気拡大が続くのに、家計では好景気の実感がわかない…。もう何度も目にしてきたそのテのニュースだが、裏付けがあった。

内閣府の発表によると、企業が儲けたうちで労働者がどのくらいの取り分を得たかの目安「労働分配率」が、ピークだった1998年10月~12月期の73.4%から、直近の2006年10月~12月期には、65.0%まで落ちていたというのだ。企業業績は絶好調で過去最高益を出す企業が続出しているのに、給料はちっとも上がっていない。それをデータが示す形になった。

実はこの労働分配率、日本では不況になると上がり、好況になると下がるという傾向を示してきた。実際、ピークだった98 年は日本の金融危機の直後。そして現在は、連続景気拡大中。過去のデータでも、オイルショックやバブル崩壊、アジア通貨危機後には上がり、逆にバブル全盛期やITバブル時には、下がった。実は日本では労働者の取り分そのものはあまり変わらないのである。変わってきたのは、企業業績の方なのだ。2000年代以降は、企業業績が大幅ダウンし、労働者の取り分そのものも減ったとはいえ、ほんのわずかだった。

アメリカでは労働分配率は、日本ほど大きな変動なく推移している。景気や企業業績の変動に合わせて、労働者の取り分も変動したからだ。好況になると賃金は上がるが、不況になると、下がったり、大胆なリストラが行われてきたのである。

現在の労働分配率は適正よりやや下、と言われる。もっとよこせ、と言いたいところだが、話はそう単純ではない。アメリカのような大胆な賃金変動ができない日本では、企業にとって賃上げはかなり勇気がいる。一度上げたら簡単には下げられないからである。実際、正社員の定期的な賃上げを嫌気したことが非正規雇用を増やした。厳しい国際競争の中、“いいとこ取り”は難しい。賃金を上げるべきか否か。実は突きつけられているのは、日本の経営をこれからどうするのか、なのである。


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