テレビだけじゃないんです!

有機ELテクノロジーの可能性とは?

2008.01.04 FRI



撮影/関本陽介
ソニーが世界で初めて製品化した有機ELテレビは、先行予約であっという間に品切れになってしまったらしい。液晶やプラズマの薄型テレビが登場したときにも驚いたが、有機ELに至っては、パネル部の厚さが3ミリ(!)。世の中すごいことになってきた。

この極薄テレビを可能にしたのが、有機ELのテクノロジー。ELは、エレクトロ・ルミネッセンスの略。石油から作られるプラスチックや合成繊維などの有機物に電流を流すと発光する現象を利用した高画質表示装置。自らが発光するため、液晶のようなバックライトは不要。だから、数ミリの薄さにもなるし、折り曲げたりもできる。低電力で視野角も広い。いずれはSF映画でしか見られなかったフィルムのようなディスプレイや壁面全体のディスプレイなど、まさに夢の映像デバイスになりうる。

だがこの有機EL、原理は60年代に生まれていたものの、15年前までは実用化の見込みがなかなか立たなかった。1993年、この状況を一変させるニュースが世界に衝撃を与える。実現不可能といわれていた白色の有機ELの開発に成功したのだ。それが、山形大学の城戸淳二教授。その研究成果は、ウォールストリートジャーナルの1面を飾るほどのインパクトをもたらした。

白色の有機ELは、白のベースにカラーフィルターを貼り付けることで、低コスト、高効率のディスプレイが実現できる。そしてこの技術は、「面発光」という特性を利用し、照明器具としての可能性も見いだせた。例えば、有機白色照明。照明にはすでに蛍光灯があるが、EUでは蛍光灯の水銀を規制するなど、環境問題対応などで新しい動きがある。また、薄型で折り曲げ可能な有機ELを使えば、これまでになかったようなデザインも可能。その市場規模は、6000億円とも。城戸教授は、この照明への応用も提唱、新しい取り組みを次々と実践し、有機ELでは世界的な権威となっている人物である。これからが大いに楽しみな、日本発のテクノロジーなのだ。


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