中国が原料の輸出をストップ

化学肥料の価格上昇が食料価格に与える影響

2008.07.31 THU



撮影/遠藤貴也
国産の野菜が店頭から消える!なる恐ろしい噂がある。原因は中国が化学肥料の主原料の1つ、リン鉱石の輸出を事実上ストップしたから。中国は世界最大の産出国、おかげで世界的に価格が高騰、危機的状況へのカウントダウンが始まったと言われるが。

「結論から言えば、国産の野菜はなくなりません」(JA全農広報部・山田英俊さん)

ホッと一安心といきたいが、そうもいかない。現在、日本の農業では化学肥料が主役。有機肥料に比べてコストが安く、速効性があって手軽に使えるため、働き手の高齢化が進む日本には欠かせない。

化学肥料は主に、動植物が堆積してできるリン鉱石と、海水が鉱物化した塩化カリウム、石油から作られる窒素分などから作られるが、日本では海外に依存している。もともとこれらの原料は一部の国やメーカーが独占してきたが、バイオエタノールの拡大や、食料の増産で肥料需要が増えたことで、値上がりが続いていたのだ。そこにきてさらに中国は、自国の農業優先のためにリン鉱石の輸出をストップ。結果的に世界のリン市場は昨年の3倍に高騰、同様に窒素やカリウムも2~3倍に値上がりし、JAでは肥料の価格を7月から平均6割値上げした。となれば当然、国産野菜の値上がりは必至で、それに追随して価格が決まる輸入野菜の値上げも同様だ。

それにしても化学肥料の原料輸入が、完全にストップすることはないのか? 

「耕地面積の少ない日本は世界の流通量のわずか1~3%しか使いません。JAではベトナムなど産地の多角化を図って必要量の確保を図っています」(同・山田さん)

食料の多くを輸入に頼る農業小国ゆえ危機とまで至らないが、JAはすでに下水汚泥からリンを取り出す研究なども進めている。とはいえまだ実用化には遠く、そこで注目されるのが家畜の糞やオカラ、家庭の生ゴミといった有機肥料の源。コストや手間のかかる有機肥料も、市民が協力すれば問題解決の一手になるかもしれない。


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