あわよくば出世する技術

第8回 相手に安心感を与える間合いとは?

2009.03.13 FRI

あわよくば出世する技術

私は雑談は得意なんですが、ついついしゃべり過ぎてしまいます。合コンでは口下手な友人のフォローをしていますが、結局モテるのはいつも友人のほう。どうしたらいいでしょうか?
投稿者:「ほにゃ子」さん(埼玉県/31歳/女性)

うーん、なるほど。過ぎたるは及ばざるがごとし、とはよく言ったもの。じつは筆者も、「あ、俺ちょっと出しゃばってしゃべり過ぎかも」と反省することがございますよ。主に合コンで。

しゃべることでイメージアップできないなら、逆に、何もしゃべらずに相手に好印象を与えられる方法はないだろうか? ノンバーバル(非言語)コミュニケーションなんて言葉もあるくらいだし。間合いひとつで相手にとっての居心地のいい男になれれば、あわよくば出世にもつながるかもしれない。

さっそく調査開始!
人は、真っ正面よりもある程度角度がついた配置で向き合ったほうが話しやすい。視線を合わせる頻度なども、場の雰囲気に合わせて微調整することが大切なのだ

話し相手を無意識に安心させる「視線の逃げ場」を意識せよ!



とくに気の利いたセリフを言うわけでもないのに、一緒にいてなんだか心地の良い人というのがいる。単なる雰囲気の問題といえばそれまでだが、物腰なり表情なり、きっとどこかにプラス要素があるはず。

心理学の世界には、「パーソナルスペース」という概念がある。人が無意識に持つ警戒領域のことで、さほど親しくない他人に必要以上に接近されると、誰しも不快感を覚えるもの。居酒屋などで隣のテーブルが近くて落ち着かないなんてケースは、知らない人があなたのパーソナルスペースに侵入しているためだ(パーソナルスペースの広さは相手との親密度によって変わる)。

これを逆手にとり、相手の警戒心を刺激しない術を身に付ければ、「なんだか感じの良い人」になれるのでは!?

『キャバ嬢カウンセラー・ミサの恋愛課外授業』(河出書房新社)などの著書を持つ、臨床心理士の加納ミサさんに聞いてみた。

「テーブルに着席する時でも、位置取りによって相手が受ける印象は変わります。たとえば真正面というのは、相手に心理的な威圧感を与えてしまいます。商談や交渉事などのシーンでは効果的ですが、友好的な場では正面はなるべく避けた方がいいですね。私たちがカウンセリングを行う際も、患者さんの正面には座らず、テーブルの角を挟んで90度の角度に座るなどの配慮をしていますよ」(加納さん)

加納さんいわく、日本人は他人の視線が苦手な人が多く、初対面の人と話す際にはとくに、「目を泳がせられる空間」を確保してやるのが相手を安心させるコツだという。人間は案外、警戒心の強い生き物なのだ。

「たとえばエレベーターの中で、人が条件反射のように文字盤を見上げたり、ケータイを取り出したりしてしまうのは、視線の逃げ場を探しているからです」(同)

相手と2名席に対面で座らなければならない場合などは、意図的に視線の逃げ場を用意してやるのも効果的だ。たとえば卓上のメニューをそれとなく中央に持ってくるだけでも、気まずい沈黙は緩和されるはず。メニューがなければ灰皿でもチラシでもいい。

しかし、目が合うのを避け続けるのも、かえって印象が悪い気もする。ここぞ、という視線の効果的な使い方を、『雑談力』(明日香出版社)を著した東京メンタルヘルスアカデミーの武藤清栄さんに聞いてみた。

「たとえばお詫びを述べる時の『申し訳ありません』や、お願いをする時の『よろしくお願いします』なら、頭を下げて礼をし、顔を上げた瞬間にじっと相手と目を合わせること。意外とこれができない人は多いですが、最後に視線を送ることでコミュニケーションは非常に誠意あるものになりますよ」

位置取りと視線。このふたつに配慮するだけでも、コミュニケーションは格段にスムーズになるのだ。
知らず知らずのうちに、他人を「威嚇」してはいないだろうか? 当人にまったくその気がなくても、派手な衣装、前衛的過ぎるアクセサリーなど、目立つ姿は決して好ましくないのだ

あなたは大丈夫…?無意識に与える「威圧感」の謎



言葉遣いは丁寧なのに、なんだか威圧的でとっつきにくい人というのがいる。何度も会っているうちに打ち解けていくことはあれど、ビジネスマンたるもの、とっつきやすく親しまれる人間であるに越したことはない。

では、相手に威圧感を与えず、安心してもらえる存在になるには、どうすればいいのだろう? 臨床心理士の加納ミサさんに聞いてみた。

「たとえば、腕組みや脚組みは心理学的に防御を意味する姿勢です。打ち合わせの席などでこうした体勢をとることで、相手が壁を感じてしまうこともあります。関係性が薄いうちはなるべく避けた方が相手は安心できますね。また、ファッションもいたずらに派手なものは、やはり無意識のプレッシャーを与えることになるので注意してください」(加納さん)

加納さんによれば、ただ「目立つ」というだけで、人は本能的に警戒してしまうものだという。「動物でも派手な模様は威嚇の手段ですから」(同)というだけに、大胆な柄のネクタイ、奇抜な色のシャツ、先端が異様に尖がった靴など、オシャレのつもりが警戒されてしまっては元も子もないので注意したいところ。

「私たちカウンセラーは、クライエントを安心させるために、壁に溶け込む色を着るというセオリーがあるほど。色みも、赤系統は一般的には攻撃色ですから、友好ムードを演出したい場では、相手を安心させる青系統を身に付けるのが無難といえます」

また、会話の最中についても、加納さんは次のように指摘する。

「間合いを計ると表現するように、コミュニケーションにおいては距離やタイミングを計ることが大切です。なかなか口を開かない人もいますが、単に人と話すのが嫌いなのか、それともしゃべるのに時間がかかる人なのか、正確に見極める必要があります。後者であれば、言葉が出てくるまで慌てずに待ってあげましょう」

しゃべらないのがマイペース、という人だっているのだ。いずれにせよ相手のペースを邪魔しないのが鉄則で、相手が話し始めたら、決して話の腰を折ってはいけない。話題の終着点に到達するまで、適度な相づちでスムーズに導いてやるくらいの配慮をしてあげたい。

思っている以上に、人間は警戒心が強いもの。こちらからガンガン話しかけるのもひとつの手だが、無理に頑張らなくても、少しでも相手が安心して話せる間合いとタイミングを見極めてやれば、ちゃんと「話していて心地良い人」になれるのだ。 今回ご協力いただいた加納ミサさんも参加するライターユニット、グループニヒトが著した『ヨイショの技法』では、「トーン・コントロール」の必要性に言及されています。

これは相手の気分やテンションにこちらの調子を合わせることで、つまりはこれも間合いを計ることの一環といえます。

どれだけポジショニングに気を配ろうとも、どれほど適切に視線を操ろうとも、相手のテンションにそぐわないノリは不快感を与えてしまうもの。何事もバランスが大切ですね。

引き続き、皆さんからのお便りも大募集! デキる人材になるための素朴な疑問、身の回りの出世頭に関する情報など、何でもどうぞ!

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