実質的な失業率は9%台?

「雇用調整助成金」が打ち切られたらどうなる?

2009.09.10 THU



写真提供/時事通信社
GDP成長率が5期ぶりにプラスに転じるなど、経済復調がささやかれている。だが、相変わらずの厳しさなのが、失業率。7月の完全失業率は5.7%と過去最悪の5.5%を更新した。そしてここにきて、雇用の実態はさらに深刻なのでは、という声が出始めている。「雇用調整助成金」の存在だ。

雇用調整助成金は、業績の悪化した企業が休職中の労働者に払う休業手当の一部を政府が補助する制度。事業活動を縮小せざるを得なくなった企業が、社員を解雇せず、休業や出向で雇用を維持することを条件に助成する。要件を満たせば最大で、大企業で休業手当の4分の3、中小企業では10分の9が助成される。

2008年秋には100件程度だったこの制度の利用が、09年に入って急増。5月には6万7000件、支給対象者数は233万8900人にまで膨れ上がった。これは見方を変えれば、助成がなければ失業者にプラスされていたかもしれない人の数。完全失業者数と単純に足し算し、失業率として計算すると約9%にも達するとも報じられた。これはアメリカの6月の失業率9.5%に迫る驚くほどの数字なのだ。

雇用調整助成金の支給期間は3年間で300日。この間に景気が回復し、企業の業績も同時に回復すればいい。だが、問題は業績が回復しなかった場合や、会社が倒産してしまった場合だ。支給者は失業者となって放り出されてしまうことになるのだ。

実は小泉政権時代、雇用調整助成金は廃止の方向が打ち出されていた。本来は「退場」すべき企業を延命させ、そこに従業員を縛り付けておくことは、新規産業や人手不足の産業への人の移動を妨げることにもなる、という考えからだ。ところが、不況を受けてむしろ支給条件は緩和。これが申請急増につながった。ひとまず失業率急増は避けられた。急激な社会不安は生まれなかったが、問題が完全に解決されたわけでは実はない。雇用問題は、助成金問題とセットで見ておく必要がありそうだ。


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