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篠宮龍三が挑む水深100mの世界

2015.07.23 THU

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篠宮龍三 apneaworks=写真
空気タンクを背負わず、ひと息で海の底へと身を投じる。光も音も重力もない、宇宙を漂うような感覚。その深淵なる世界に、彼は何度も魅せられてきた。篠宮龍三は、日本人唯一のプロフリーダイバー。ジャック・マイヨールに憧れ、深海へ挑み続ける38歳は、人類史上7人しかいない水深115mを知るダイバーとして、10年以上にわたり国際舞台の第一線に君臨し続けている。

「何よりメンタルがものをいう競技で、スポーツというより、武道に近い。記録にこだわり欲をかけば、それ以上進めなくなり、海に拒絶されてブラックアウトしてしまう。若い頃は、何度も痛い目に遭いました」

心の乱れが死に直結する深海では、記録への渇望が仇となる。マイヨールも傾倒した禅にならい、無の精神状態に近づいたとき、気づけば水深100mの境地に達していた。

「もちろんトレーニングや戦略など、大会で記録を残すための準備は怠りません。会社を辞めて沖縄に移住したのも、競技に専念し世界のトップを極めたい想いがあったから。でも、海に入ったら競技のことは一切忘れて、今のベストを尽くすだけ。水中で順位を追わなくなったら、逆に世界で勝てるようになりました」

来年40歳。体力の衰えを感じることもある。それでも、深海への冒険をやめるつもりはない。

「この競技は長く続けるほど強くなる。競技中は忘れていても、陸に戻れば記録への挑戦はモチベーションになる。いつかは128mの世界記録を破りたいと思っています」

榎並紀行(やじろべえ)=取材・文

  • こだわり仕事道具

    究極のダイバーズ・ウォッチと称されるBREITLINGの「スーパーオーシャン」。小径で水の抵抗が少ないため、装着していることを忘れて競技に集中できる
  • 世界が認めた瞬間

    今年5月、バハマで開催された国際大会で総合2位を獲得。2008年から参加している同大会では初めてとなる表彰台に立ち、改めてその実力を証明した

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