東大→マッキンゼーからパンツブランド社長へ TOOT枡野氏

“周りと同じ安心”を捨て、いいジョブホッパーになれ

2016.10.10 MON

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枡野恵也(ますの・けいや) 1982 年生まれ。東大法学部卒業後、2006 年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。レアジョブ、ライフネット生命保険などへの転職を経て2015 年 4 月に株式会社TOOTの代表取締役社長に就任
(撮影=小野奈那子)
男性向けアンダーウエアブランド「TOOT」。しっかりした縫製とクオリティの高さもさることながら、カラフルで遊び心に富んだデザインに定評がある。

ブランドを率いるのが、枡野恵也氏。東京大学法学部卒、新卒でマッキンゼー・アンド・カンパニーという華麗なキャリアを手放し、ベンチャーやスタートアップにジョインしてきた。その選択の背景にある思考は、転職などのターニングポイントで、周囲とは違う道を歩み出すことに躊躇しているビジネスマンに、大きなヒントを与えてくれそうだ。

●仕事は「トレーニングを積む」感覚 実力不足でも自己肯定しよう


高校時代には「国連の事務総長になる」という目標を掲げていたという枡野氏。だが、マッキンゼー入社後の枡野氏の新人時代は、実力不足からくる苦悩の連続だったという。

「とにかく厳しい職場でした。もう何度もくじけそうになりましたよ。2時間くらい説教を受けることもざらにありました。新卒の頃なんかは、何ができないのか、どうしたらいいのかをひたすら紙に書きだして、デスクに貼ってました。なかでも忘れられないのが、『まずは自分を否定するところから始めろ』というフレーズ。そこまで言う職場なんて、イマドキなかなか少ないのではないでしょうか」

就職難易度トップクラスの企業とあって、人材育成にも相当な厳しさがともなったようだ。しかし、枡野氏はスキルが身につくまで食らいつく覚悟を持って仕事に臨んでいたそう。能力が不足していたのか?

「具体的なスキルでいうと、僕の場合はビジネスレベルの英語と問題解決能力がほしかった。マッキンゼーに集まってくる人たちって、とにかく自信に満ちあふれているんですよ。みんな、自分なりの夢や野心があって、そこに向けて『トレーニングを積む』みたいな意識で仕事をしていた。やはり自己肯定感って大事なんですね。だから僕も、ファーストキャリアは自分に絶対的な自信が持てるようになるまで、とにかく頑張ろうと。その能力と自信を手に、よりやってみたい、より関心がある業界に飛び込むんだと思っていたんです」

●「いいジョブホッパー」になれ! 会社を出ない安心感は“幻想”


枡野恵也
マッキンゼー退社後は、オンライン英会話サービス、生命保険会社、そして現在のアンダーウエアブランドと、一見すると脈絡のないキャリアを歩んでいるようにも思える枡野氏。若手ビジネスマンのなかには、転職などで不用意に“社外に飛び出す”ことを恐れる人も多いが…。

「『ジョブホッパー』みたいな言葉があるじゃないですか。でも、それは悪いって誰が決めたんですかね? 言い方は変ですけど、『いいジョブホッパー』になればいいんじゃないかと思うんです。働いた期間は短くても、きちんと頑張っていたり結果を出していたりすれば、転々としたっていい。逆に、ただずっと長くいるだけの人とかって何の価値もないじゃないですか。『同じ会社にいれば安心』『周囲と同じで安心』なんて、そもそも思いこみに過ぎない。全部気のせいなんですよ」

枡野氏はこれまでの会社との出会いを「縁」と表現する。それらは偶然ではなく、すべて自ら手繰り寄せてきたものだ。

「僕が望む会社に転職できたのは、色んな“人”と“世界”にアンテナを張っておいたから。ただ人と会うんじゃなくて、『自分はこういうことに興味がある』『こんなことができる』『あなたのお手伝いができるかもしれない』と、ちゃんと伝えることでしょうね。素敵だなと思った人や会社には積極的に声をかけにいくわけです。そして『自分はあなたとこんなことしたいです』って“告白”する。いきなり女性をナンパすることに比べたら、そんなの全然たいしたことじゃないですよ。

僕はもともと社交的な性格で、『臆せず人と話せる』という才能には恵まれたと思います。正直なところ客観的に見て変なやつだなって自覚はありますけど(笑)。全然知らない人に会いに飛び込んでいく。優秀かどうかより、そういうことができる方が結果的にいい仕事に巡り合える気がしますね」

(末吉陽子/やじろべえ)

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