会議ナシ、資料ナシ。“超ホワイト”な社風の真意とは?

カルビー松本晃「残業していると優秀な人になれない」

2017.02.06 MON

給料?やりがい? 30男キャリア相談所 > 個性派社長のお悩み相談室


(撮影=小野奈那子)
菓子メーカー大手の「Calbee(カルビー)」。1949年の設立以来、「かっぱえびせん」「ポテトチップス」などの“国民的スナック菓子”をはじめとする、数多くのヒット商品を生み出してきた。

2009年から同社の会長兼CEOを務める松本 晃氏は、それまで伸び悩んでいた業績を増収増益へ導いただけではなく、社内風土の大改革やダイバーシティの推進にも取り組んできた。つい先日も、今年4月からテレワークの上限日数を撤廃し、毎日好きな場所で仕事ができる制度をスタートすると発表して話題を呼んだ。インタビューから見えてきた松本氏のビジネスポリシーは、いうなれば“信条”をとことん突き通すこと。分かっていてもなかなかできない「無駄をなくす」「残業をやめ、自分磨きの時間を作る」といった“正論”から、逃げることなく向き合っている。

●無駄なことは全部やめろ! 「書類なんてほとんど紙くず」

松本氏が会長に就任してすぐに進めた改革のひとつに「ノーミーティング、ノーメモ」がある。会議にかかる時間と資料のムダをなくすのが狙いだ。

「組織というものはたいがい、上に問題があるんです。惰性で行われている会議なんて、融通の利かない上司のせいで部下が困っている典型的な例ですよ。マネジメントする立場にいる人間は『部下の時間を奪っているのは上司だ』と、自覚すべき。会議もそうだし、そのための書類作りも、ムダなものは上が率先して排除していくべきです」

ただ、マネジメントする立場からすると、そもそも「何がムダで、どうすれば合理化できるのか」が分からないという悩みもある。それを解決する第一歩として、次のような方法を挙げる。

「僕はいつも『仕事を3つに分けなさい』と言っています。1つ目は『やらないといけない仕事』。2つ目は『やったほうがいい仕事』。3つ目は『やらなくていい仕事』。そのうち、会社の儲けにつながらない会議のような『やらなくていい仕事』は、最初からしなければいい。当たり前のようですが、ほとんどの人はここから始めないといけません。

始末が悪いのは、『やったほうがいい仕事』です。僕は、これもやめろと言っている。たとえば、書類なんて頑張って作ったとしても、ほとんど紙くずにしかなりません。最終的に残るのは『やらなきゃいけない仕事』だけになるから、それだけちゃんとやりなさいと。で、終わったら帰れと。まずは、少しでも無駄だと感じていることは、いったん全部やめてみるといい。ほとんどは『やらなくていい仕事』だったと気づくと思います」

●毎日13時に帰れたら何する? 魅力ある人間が“モノを売れる人間”

長時間労働をとことん否定する松本氏。ビジネスパーソンは仕事以外の時間で自分の“資産価値”を高めることが重要で、それが会社に好影響をもたらすと考えている。

「残業なんてしていると、優秀な人間になれません。社員が成長しないと会社も良くならない。だから、早く帰れと言うんです。たとえば、今13時ですね。毎日これくらいの時間にパッと帰るとするでしょ。何しますか? 毎日パチンコをする人がいるでしょうか? いないですよね? ずっと怠惰に過ごす人なんてそうはいません。自分なりに考えて何かを始めるはずです。勉強して教養を高める、ジムに行く、家族で食事に行く、子どもと遊ぶ、なんだっていいんです。自分の好きな時間を持つことで人間はどんどん魅力的になっていく」

そう考えるのは、自身の経験によるところが大きい。トップ自ら仕事以外の時間を大切にすることで、常に自分を磨いている。

「ウィークデーは早く帰って散歩したり、本を読んだり。帰宅途中でコンサートや映画に行くこともありますね。アニメは滅多に観ないけど『君の名は。』は観ました。あと『シン・ゴジラ』もね」

こうした仕事以外の知見を広めることは、ひいては“自分の資産”を増やすことにつながると考えているようだ。

「自分が優秀だと思っている人、世の中にいっぱいいるわけですよ。でも、自分で『優秀だ』って言ったって意味がない。人から言ってもらわないと。そうしないと買ってもらえません。やっぱり人からモノを買ってもらえる人間にならないとダメだと思いますよ。人は“買いたいモノを買う”んじゃない、“買いたい人から買う”んですよ。ということは、魅力ある人にならないといけない。しかも、モノとお金だけが欲しかった時代から、今は価値観が変わって、欲しいモノの性格も変わってきてます。だからこそ、これからはますます『チャーミングな人』でないとダメですね」
(末吉陽子/やじろべえ)
松本 晃(まつもと・あきら) 1947年、京都府生まれ。1972年に京都大学大学院農学研究科修士課程を修了後、伊藤忠商事株式会社に入社。1993年にジョンソン・エンド・ジョンソンメディカル株式会社に入社。代表取締役社長、最高顧問を歴任後、2009年6月にカルビー株式会社の代表取締役会長兼CEOに就任。以来、同社を7期連続の増収増益に導いている
松本 晃(まつもと・あきら) 1947年、京都府生まれ。1972年に京都大学大学院農学研究科修士課程を修了後、伊藤忠商事株式会社に入社。1993年にジョンソン・エンド・ジョンソンメディカル株式会社に入社。代表取締役社長、最高顧問を歴任後、2009年6月にカルビー株式会社の代表取締役会長兼CEOに就任。以来、同社を7期連続の増収増益に導いている

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