なぜアフリカの原住民の長とも打ち解けられるのか?

千原せいじ「がさつなコミュニケーションは合理的」

2017.03.23 THU

給料?やりがい? 30男キャリア相談所 > “仕事本”に学ぶ


(撮影=松倉広治)
「空気なんて読んでも、意味ないで!」。空気を読むことが重要とされがちな現代に、こんな刺激的な言葉がオビに並ぶ、『がさつ力』という本がある。人気お笑いコンビ・千原兄弟のツッコミ担当、千原せいじの著書だ。彼は周囲から「がさつで図々しい」と言われているが、まったく意に介さないばかりか、著書では「がさつなコミュニケーションは合理的」と語り、様々なシチュエーションで他人と打ち解けてきた経験をつづっている。部下や同僚、得意先にと、方々で気を遣いがちな若手サラリーマンに向けて、“がさつ”であることがどう合理的なのかを語ってもらった。

●「上司と合わないことも早くわかったほうがいい」

ビジネスマンにとって、社内外問わず、第一印象は非常に重要だ。しかし、どうも気を遣いすぎてしまい、コミュニケーションがうまくいかない…。そんな悩みに答えてもらうべく、「どんな時に“がさつ”力を発揮すれば良いのか」とせいじさんに聞いたところ、「こういうときはこうするべき、みたいなマニュアルを求めるのは良くない」とさっそく厳しい言葉が。

「そもそも人の気持ちなんて、その状況次第で、全然違うわけで。腹が減ってる、寒い、機嫌が悪いとか。マニュアルなんて存在しないので、そのときどきでうまくやるしかないんですよね。だからこそ、気を遣ってもじもじしてないで、誰にでも聞きたいことを聞けばいいんですよ。たとえば、この取材でも、人見知りやからって、関係ない世間話を長くしても仕方ないじゃないですか。お互い忙しいんやから、ばっと本題から入った方が合理的でしょう」

一理あるとは思うのだが、自分から積極的にいくことで、相手からどう思われるかが心配になってしまう人も多いのでは…?

「逆に聞きますけど、相手にどう思われるのがイヤなんですか? 人間、誰だって『こいつとは合う、合わへん』みたいな感覚があるはずなので、どっちにしても早くわかった方がお互いに良いじゃないですか。仮に相手から『こいつとは合わへん』と思われても、死ぬわけちゃうし、合わない上司や得意先だって、一生付き合うわけじゃないから。

それに、こっちが本音で接すれば、相手も本音で話してくれることも多いし、会社とか肩書関係なく深い付き合いができるきっかけもある。デメリットばっかり想定しないで、踏み込んでみるのがいいんじゃないですかね」

海外ロケの際も、現地の人とすぐに打ち解ける千原氏。その“がさつ力”で広げた人脈は、有名なボクサーのマニー・パッキャオからアフリカの原住民の長まで、というのだから、説得力も強い。

●「美容師が家に来る」とは!? 育った環境が違えば接し方が変わる

さらに、新任マネージャーの多くが苦手とする、「部下や後輩を叱ったり怒ったりする方法」を聞いた。ここでも、あえてがさつに押し切るべきなのだろうか? 過去に飲食店を経営し、後輩芸人を雇っていた経験談から、話は思わぬ方向へ。

「人間って、育った環境ですべて決まってるんですよ。たとえば、ファミリーレストランしか行ったことがない子に、『帝国ホテルみたいな接客をしろ』って言うても、想像もできないし、ムリですよね。叱っても、ふてくされるだけで、何の意味もないから、相手がどんな環境で育ってきたのかによって、その人に向いている接し方をするしかないんですよ」

相手に合わせた“接し方”とは、具体的にどうすれば…?

「お互いの世代や環境が違うと、なぜ自分が怒られるのかすら、理解できないこともある。たとえば、結婚式にご祝儀を持ってこなかった人がいたとします。普通やったら非常識と感じるけど、その人が北海道出身だと分かったら、『ああ、そういう習慣が無い地方の人だから仕方ない』と思いますよね。だからこそ、相手がどんな人なのか、どんな環境で育った人なのかを、早く知った方がいいんです」

そんな「相手の人となり」を知るためにも、“がさつ力”を活かして、ぐいぐい話を聞いていけばよいということだろう。

「お笑い芸人の世界でも、同じようなテーマでネタをやった時に、全然違うコントになることがあって。中曽根元総理の孫の芸人がいるんですけど、そいつが美容室のコントをやった時、こんなセリフから始まったんですよ。『あ~今日は美容師が家に来る日だ』って。いや、普通、けえへんわ(笑)! でも、その子にとってはそれが普通なんですよね」

ちなみに、同じ環境で育った千原兄弟の二人には、どんな共通点があるのだろうか。

「ぼくはご飯を食べる時に、最後にみそ汁を飲むんですよ。同期の大山英雄に言われて初めて気づいたんですけど、ジュニアもそうらしいんです。あいつはナイーブで潔癖なところがあるから、がさつな自分とは性格が全然違うと思ってたんですけど、やっぱり兄弟なんですね(笑)」
(森 祐介)
千原せいじ(ちはら・せいじ) 1970年、京都府福知山市生まれ。1989年に弟の千原ジュニアとコンビ「千原兄弟」を結成後、1994年にはABCお笑い新人グランプリ優秀新人賞、上方漫才大賞新人賞を受賞。レギュラー出演中の『世界の村で発見!こんなところに日本人』(ABC・テレビ朝日系)にて、様々な国で即座に人々と打ち解ける姿が注目を集めている
千原せいじ(ちはら・せいじ) 1970年、京都府福知山市生まれ。1989年に弟の千原ジュニアとコンビ「千原兄弟」を結成後、1994年にはABCお笑い新人グランプリ優秀新人賞、上方漫才大賞新人賞を受賞。レギュラー出演中の『世界の村で発見!こんなところに日本人』(ABC・テレビ朝日系)にて、様々な国で即座に人々と打ち解ける姿が注目を集めている

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