今週は“仕事人の極限心理を知れる映画”

ホロコーストの極限状態、1200もの命を救った兄弟とは?

2010.01.29 FRI


トゥビア役にはジェームズ・ボンド役で知られるダニエル・クレイグをキャスティング。サスペンス色も豊かに描かれ、歴史劇+サスペンスアクションの二度オイシイ作品に仕上がった (c)2007 Defiance Productions, LLC
人間追いつめられると、自暴自棄になるか、もしくは火事場の馬鹿力を発揮するか、そのどちらかだろう。その後者で、歴史的な働きをした兄弟がいる。第二次世界大戦中に起きたナチスによるユダヤ人迫害、いわゆるホロコーストを逃れ、他の約1200もの命を救ったというビエルスキ兄弟がそれ。その史実をもとに、『ラスト サムライ』のE・ズウィック監督が映画化した『ディファイアンス』を紹介しよう。

1941年のベラルーシ。ビエルスキ兄弟はナチスのユダヤ人虐殺を逃れ、うっそうとした森に逃げ込んだ。ところが、その森には、彼らと同様に逃げてきたユダヤ人たちが続々と集まり始める。やがて兄弟はリーダーシップをとるようになるが、長男トゥビアと次男ズシュの間には意見の相違から不和が生まれ……。

このテーマだと『シンドラーのリスト』で知られるオスカー・シンドラーや、「日本のシンドラー」と言われる杉原千畝による逸話が有名だ。だが、彼らはいわば御上の人間。ビエルスキ兄弟は一般人でありながら、同郷のユダヤ人を約1200人も救ったという英雄なのだ。だが、そのエピソードは今まであまり語られることがなかった。

彼らは次第にふくれあがっていく難民たちを見捨てることなく、森の中で集団生活できるだけの環境と秩序を、1から作っていった。その中には学校や病院、食糧配給所などもあったのだとか。極限状態の中、そこまでの仕事をこなすのは想像を絶する苦労だったはず。また、映画のラストで明かされる事実に注目を。このような偉業をなしたのに、戦後60余年もの間彼らが無名であり続けた理由が明かされるのだ。極限状態をヒーロー然とせずに全うした兄弟の生き様を知って欲しい。
(よしひろまさみち)

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