今週のじっくり腰をすえるゲー

ゲームでしか味わえない多重構造のサスペンス小説

2010.02.05 FRI


「家でゲームなんかする余裕はない!」という多忙な人には、携帯ゲーム機であるPSP版がオススメ。通勤中などの時間に少しずつプレイを進められるのがうれしいところだ (C)2008/2009 CHUNSOFT 「サウンドノベル」はチュンソフトの登録商標です
活字離れが問題になって久しいが、たしかにお手軽に楽しめる娯楽があふれるいまの時代に、分厚い長編小説を手に取るのはナンセンスかもしれない。それでも久しぶりに小説を読みたいな…と思っているなら、『428~封鎖された渋谷で~』をオススメする。

本作はサウンドノベルというジャンルのゲーム。シーンに合わせた写真を背景に、テキストを読み進めることで進展していくというもので、紙の小説と違うのは臨場感を高めるサウンド(BGM&効果音)と、主人公の行動を左右する選択肢がある点だ。シンプルなジャンルなだけにストーリーの良し悪しは肝であるが、本作は数々の賞を受賞しており、サウンドノベルの最高傑作に推す人も多い。

内容は渋谷で起きた身代金目的の誘拐事件を発端に、世界規模の大事件へと発展していくサスペンス。主人公は新米刑事の加納や着ぐるみアルバイターのタマなど、渋谷に集まった雑多な人々である。主人公が複数人いるのは、本作の特徴であるザッピング(チャンネルを変えながらTVを観るという意味)システムがあるため。本作はこのシステムにより、主人公を切り替えながら多角的に事件を楽しめる。

また、主人公たちの行動は互いに影響しており、例えばのほほんとバイトをしているタマの行動が、ヒロインの生死を決めるなんてこともあるのだ。こうしてまったく無関係であったすべての主人公たちのストーリーが、事件の核心へと収束していく終盤のカタルシスは鳥肌モノである。

「なにもわざわざゲームで小説を…」と思う人もいるだろうが、むしろ本作はゲームというメディアでしか味わえない小説。新しい形態の小説だからこそ生まれた極上のサスペンスを体験してみてはいかがだろうか?
(鈴木利宗)

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