今週は“広い世界を発見できる映画”

日常の枠組みを踏み越える映画『イントゥ・ザ・ワイルド』

2010.07.14 WED


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降ったりやんだりの不安定な気候が続き、遠出の予定を立てづらかった梅雨。せっかくの休日も自宅でごろごろするだけで、体も心もなまっているR25世代が多いのでは? ようやく梅雨が終わり、夏の陽射しが降りそそぎ始めるこの時期、広々とした世界へと踏み出したくなる映画『イントゥ・ザ・ワイルド』を紹介しよう。

1992年、アメリカの最北、アラスカの地で死体が発見された。彼の名はクリストファー・マッカンドレス。90年に大学を卒業したばかりの若者は、なぜ北の荒野で命を終えることになったのか。

クリストファーは、事業で成功をおさめた両親のもとで、裕福に育った。大学も優秀な成績で卒業し、ロースクールへ進学するものとばかり思われていた。絵に描いたようなエリート・コース。だが彼は、貯金のほとんどを慈善団体に寄付し、両親や妹に何も告げないまま、下宿先から姿を消す。

家庭を捨ててアメリカ各地を放浪するクリストファーは、途中で愛車を捨て、さらには名前を捨てて、アレグザンダー・スーパートランプ(超放浪者)を名乗る。あらゆるものを捨て、自分の肉体と精神だけを持った彼は、行く先々でいくつもの出会いを経験するが、最後には独りでアラスカを目指す。土地が与えてくれるものを自分で獲って食べて暮らそうと、最小限の装備で。

社会や親への反抗、そして自分探し――彼のことを“青臭い理想主義者”と一刀両断にすることもできるだろう。だが、究極の自由の果てにある真理は、単なる“孤独な死”なのだろうか? 一歩一歩、自分の内部への視線を深め、広大で美しい自然に踏み込んでいく……その過程は、確かに輝いているのではないか? クリストファーの次元を真似ることはできないにしても、日常の枠組みから一歩外れて、自分の内面と豊かな自然に触れる時間を持ってみてはいかがだろう。
(ダ・ヴィンチ編集部 関口靖彦)

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