今週は“原作本への興味も広がる映画”

鑑賞後、原作小説をじっくり味わいたくなる映画『パレード』

2010.10.27 WED


行定勲監督は、これまでにも『世界の中心で、愛をさけぶ』『GO』など小説の映画化を手がけ、高い評価を得ている (C) 2010『パレード』製作委員会
10月27日は「文字・活字文化の日」。今年は国民読書年でもある。しかし「本といったら、ビジネス書を年に1冊読むかどうか」というR25世代も多いのでは。そこで気軽に観られる映画を入口に、深くて豊かな小説の世界を覗いてみてはいかがだろう。うってつけなのが映画『パレード』だ。

都会の片隅で、ルームシェアをして暮らす4人の若者がいた。几帳面で健康オタクの会社員・直輝(藤原竜也)、イラストレーターの未来(香里奈)、恋愛のことばかり考えている無職の琴美(貫地谷しほり)、先輩の彼女に恋している大学生・良介(小出恵介)。一緒に暮らしてはいるが互いに理解し合った親友というわけではなく、それぞれに“本当の自分”を装って、つかず離れず暮らしている。宙ぶらりんだが、だからこそ平穏な生活。そこに5人目として、男娼のサトル(林遣都)が加わった。同じころ町では連続暴行事件が起こり……彼らの日常は、思わぬ方向に歪んでいく。

人気・実力ともにトップレベルのキャストが集い、穏やかなモラトリアムの時間が描かれる。観ているあなたも、スムーズに作品世界に引き込まれるはずだ。だがやがて、人間ひとりひとりの内面へと深く潜り込んでいくような感覚にとらわれるだろう。さまざまな登場人物と一体化し、自分とは異なる“ものの見方”を経験する……それこそが物語を味わう醍醐味であり、物語を通してあなたの人間性は深みと幅を増す。その効果は、映画を観るだけでなく、丹念に小説を読み込むことで最大限になるのだ。

映画『パレード』を観たら、山本周五郎賞に輝いた原作『パレード』(吉田修一)を読んでみよう。そして先ごろ深津絵里がモントリオール映画祭で主演女優賞を獲った映画『悪人』も、同じく原作は吉田修一。こちらの小説『悪人』も映画をはるかに越えるボリュームで人々の葛藤を描き出した傑作だ。それぞれ映画を入口に、小説の豊穣な世界へ触れてみよう。
(ダ・ヴィンチ編集部 関口靖彦)

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